ある日、写真家の北見俊介(豊川悦司)が家でゴロゴロしていると
吉沢蘭子(水川あさみ)という女性から電話が入った。
女優志望の彼女は映画のオーディションを控えており、
北見が口約束したオーディション用の写真の撮影をお願いしてきたのだ。
軽い調子で家へ呼び、若い女の子が来ると嬉しそうに北見が電話を切ったところ、
旅行へ行ったはずの妻さくら(薬師丸ひろ子)が姿を現した。
どうも電車の時間を1時間早く間違えていたらしい。
慌てて早く行けと言う北見に怪しいと詰め寄るさくら。
そして子供が作りたいから今日の旅行は辞めようかなあとつぶやき始めたさくらに、
つい北見は子供なんか要らないと冷たく言ってしまう。
ショックを受けたさくらは怒りながら旅行へと出かけてしまった。
そして、さくらは音信普通になった…
ストーリーを全く知らなかったので、途中でびっくりさせられました(^^ゞ
ある夫婦の物語です。
写真家の北見は浮気性で、10年の結婚生活の中で少なくとも10人の浮気が発覚しています。
それにいい写真を撮る才能はあるのに最近は仕事をしていません。
妻が健康に良い食べ物を食べさせようとしても言うことを聞かないし、
俺の身体だからお前には関係ないとか妻に冷たく言い放つ始末。
もうダメダメの権化なのです。
そんな夫を前に、妻の態度も変わってきます。
子供を作らないなら離婚を考えてよと言い始めて、本当にいなくなってしまいます。
どうしたのだろう…?と思っていると、時々登場するのですけど、
でも、いなくなっている期間が少しずつ長くなっていきます。
ダメダメな北見を、アシスタントをしている誠(濱田岳)と
おかまのブンちゃん(石橋蓮司)が気を使いながらそっと支えています。
二人とも心配して何かと世話を焼いてくれます。
でも、そんな二人にさえ北見は冷たい態度を取ります。本当に無気力で投げやりになっているのです。
そして観ているうちに、彼の態度の原因が少しずつ分かって来ました。
夫婦の会話がとても楽しかったです。
ドジながらも甲斐甲斐しく北見の世話を焼こうとするさくら。
そんなおっちょこちょいなさくらに冷たい態度を取りつつも、心の中では安心している北見。
特にさくらの愛情いっぱいの行動には観ている方もニッコリしてしまいます。
そして、そのシーンが印象的なだけに、その後の展開には泣かされました(T_T)
それにしても役者さんが最高でした\(^^)/
ダメダメ夫を愛嬌いっぱいにみせてくれる豊川悦司さん。
愛情の深さとキュートなどじっぷりがピッタリの薬師丸ひろ子さん。
心優しいおかまをこんなにも上手く演じるなんてとビックリした石橋蓮司さん。
子分とか弟子を演じさせたら本当に上手いなあといつも感心する濱田岳さん。
そして、野心を持ちつつも簡単には愛を捨てられなかった蘭子を演じた水川あさみさん。
みんなそれぞれにキャラクターをしっかりと演じていて安心して観れました。
あまりにも切ない展開だったのですけど、ようやく心の平和を取り戻した北見の姿に、
これもクリスマスの奇跡なのかなあとちょっと心が静かになった気がした1本です。
監督:行定勲 出演:豊川悦司 薬師丸ひろ子 石橋蓮司 濱田岳 水川あさみ 城田優
2010年 日本
(20100123)