幼い頃に軍人だった父を地雷で亡くした過去を持つバジル(ダニー・ブーン)。
今はビデオレンタル店で店番をしながら、日々を静かに送っていた。
そんなある夜、店の前の車道で銃撃戦が起き、バジルは頭に流れ弾を受けてしまいます。
銃弾を頭に入れたまま、いつ死ぬか分からない状態で生きていくか、
それとも手術で除去して植物状態になるか。
医師の運命を賭けたコイントスにより、彼の頭には銃弾が残ったまま生きていくことになる。
ようやく退院してきたバジルを待っていたのはシビアな現実。
入院している間にアパートは追い出され、家財道具は盗まれ、そして仕事も首になっていたのだ。
そして彼はホームレスとなった…
寂しそうな顔をしながらも悪徳企業に立ち向かっていく主人公と愉快な仲間たちが面白かったです~
父を亡くして温かい家庭を失い、銃弾を受けてそれまで築き上げた人生を失ったバジル。
彼はホームレス状態でパントマイムをしながら何とか食い繋いでいました。
そんな時、彼に声をかけて救ってくれたのがプラカール(ジャン=ピエール・マリエル)。
プラカールは仲間と廃棄物を修理してリサイクルしていて、彼をその集団に迎え入れてくれたのです。
世間のはぐれ者たちが都会の片隅で作り上げたホームに、バジルもすんなりと溶け込みます。
そんなある日バジルは偶然にも、彼の父を奪った地雷を製造している会社と、
彼の頭にある銃弾を製造している会社の存在を知り、その2社がライバル会社だということを知ります。
こっそりと会社のトップに近づき、彼らの武器や会社に対するポリシーを聴いたバジルは
悲しみと悔しさで静かに涙を流します。
しかも、その2社は裏で悪事を働いている悪徳会社。
証拠不十分のために警察も手が出せない状況でした。
そんな状況を見かねたバジルは仲間たちと共に
その悪徳会社をやっつけよう!と立ち上がりました。
主演のダニー・ブーンはフランスでは大人気のコメディアンです。
私はコメディアンの彼は知りませんけど、以前に『ぼくの大切なともだち』を観たこともあって
ほのかに哀愁漂うピエロのような雰囲気を持つ人だなあとという印象がありました。
そんな彼の持つ独特の雰囲気はこの映画の主人公にぴったりでした。
また、とても身体の柔らかい女優さんなどインパクトのある役者さんや
監督さんのお馴染みの役者さんが揃っていて楽しかったです。
コミカルな中にもフランス映画っぽい皮肉も込められていて、観ていて面白かったです。
オープニングにはふさわしい楽しい作品でうれしかった1本です。
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 出演:ダニー・ブーン アンドレ・デュソリエ ドミニク・ピニョン
2008年 フランス 原題:MICMACS A TIRE-LARIGOT
(20100318)
追伸
この映画はフランス映画祭2010で観ました。公開は2010年夏以降の予定です。
追伸2
今日は監督さんのトークショーがありました。エスプリのきいたコメントが楽しかったです。
ひとつ、ひゃ~と思ったのは監督からの逆質問の時。
“『アメリ』で有名になったパリのカフェ・デ・ドゥ・ムーランに行った人はいる?”という質問に
多くの人が手を上げていたのですけど、その後に監督さんは過去の経験を笑いながら話していました。
カフェには『アメリ』のポスターがあって、そこは日本人女性観光客の人気スポットだそうです。
すると近くの席に座っていた監督さんは彼女たちに、写真を撮りたいから退いてと言われたそうです。
しかも1度ならず、2度目はジョディー・フォスターといた時だそうです(-_-;)
きっと映画をあまり見ていない観光客なのでしょうね~
ポスターを撮るなら監督さんに入ってもらった方が絶対に素敵だと思うのですけど…
しかも、自分はアメリの監督だと言いたくても言葉が通じず、笑顔で返されて終わったとか(笑)
もう、日本人らしいエピソードに申し訳なくも笑ってしまいました(^_^;)