プレシャス(ガボレイ・シディベ)は16歳。
学校の授業ではずっと口を閉ざしているけど、授業を聞いているのは好きな女の子だった。
お気に入りの数学の授業中に校長室へ呼び出されたプレシャスはそのまま退学処分になってしまう。
妊娠がばれてしまい、それに関する質問に何も答えなかったのだ。
だが、数学の成績が良いと知った校長先生は、彼女に代替学校を勧める。
学校へ行けなくなった子供たちが勉強を教わる教室だ。
そこで知識のレベルを上げることが出来れば、やがては大学への入学も夢ではない。
発言や文字の読み書きが苦手なプレシャスだったが、その教室の居心地は良く勉強が楽しく感じられた。
だが、彼女の家には相変わらず彼女に冷たく当たる最悪な母親(モニーク)が待っていた…
あまりにも惨い運命を背負っていました(T_T)
16歳のプレシャスは肥満体の自分にコンプレックスを持っています。
母親からは激しく憎まれ、まるで召使のようにこき使われ、
あんたみたいなデブが愛されることは無いと毎日のように言われ続けています。
でも、彼女だって可愛くなりたいし、愛されたいです。
ちょっとおしゃれをしたい時は前髪をカーラーで巻きます。
そして素敵な恋人に愛される空想にひたりながら、現実から逃避しています。
でも、どんなに現実から逃避しても、恋人はいないし母親は愛してくれません。
母親の憎悪の激しさは凄まじくて、殴り蹴られるだけでなく、時にはテレビが落とされることも…
本当に殺したいほどに憎まれています。
働くことの無い母親は、プレシャスがもらう生活保護費が目当てで彼女と暮らしているだけなのです。
それでも、彼女は16歳。今の彼女に自由はありませんでした。
そんな彼女の生活は少しずつ変わっていきます。
代替学校で出会った先生のミズ・レイン(ポーラ・パットン)は彼女を心から心配し、彼女を救おうとします。
強張った心が少しずつ開けるようになり、
ソーシャルワーカー(マライア・キャリー)にも少しずつ事情を話せるようになっていきます。
彼女が12歳と16歳で出産したのは何故か、その父親は誰か。そして、母親に憎まれている理由は。
予想は付いていたのですけど、それでもショックを受けるようなあまりにも酷い現実でした(T_T)
それにしても、モニークの迫力は半端無いですね~
彼女がコメディアンだと知っているからこそ、ある意味、安心して観られるような鬼畜ぶりです。
これがお芝居だと分かっていなかったら、あまりにも観ているのが辛すぎます。
実の娘をそれほど憎まなくても…と思うのと同時に、憎む理由が明らかになった時には
分からないではないけどそれよりも母親でいて!と訴えたくなってしまいました(-_-;)
また、身体全体で運命に耐え続けるプレシャスの悲しみを演じたガボレイの存在感は
この物語を本当にリアルに感じさせてくれました。
あまりにも辛いシーンの後に登場するプレシャスの空想シーンを観ながら、
そのギャップと内容の可愛さに泣けてしまいました(T_T)
次々と彼女を打ちのめす現実を前にしながら、それでも自分は自由で、
大学へ入学して幸せを掴むと夢を語ったプレシャスの瞳の強さが心に残った1本です。
監督:リー・ダニエルズ 出演:ガボレイ・シディベ モニーク ポーラ・パットン マライア・キャリー
2009年 アメリカ 原題:PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL PUSH BY SAPPHIRE
(20100501)
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