2007年。海兵隊に所属するサム・ケイヒル(トビー・マグワイア)はアフガニスタンへの任務に就いた。
父の代から海兵隊を勤め上げてきたサムは優秀でしっかりした男で、気難しい父も自慢の息子だった。
サムが旅立つ数日前、弟トミー(ジェイク・ギレンホール)が刑務所から出所してきた。
兄とは違って出来の悪かったトミーは少年の頃から家庭環境のせいで荒れた生活を送っていたが、
根は悪い人間ではなく、兄のサムを心から信頼していた。
笑顔でサムを見送った妻グレース(ナタリー・ポートマン)だったが、突然、サムの戦死の連絡が届いてしまう。
悲しみに暮れるグレースと娘二人の家にトミーが顔を出すようになった。
使い難いキッチンを仲間たちとリフォームしたり、一緒にスケート場で遊んだりしたりと
不器用ながらも気遣ってくれる姿に、グレースと娘たちは親しみを持つようになる。
そして少しずつ平穏な日々を取り戻してきたある日、グレースの元にサムが生きていたという連絡が入った。
喜びに沸き返る中、帰宅したサムは別人のように表情を無くしていた…
一人の男を襲った運命はあまりにも過酷でした(T_T)
今年はもう何本も中東や中東の戦場を舞台にした作品を観ています。
どれもが深く考えさせられる作品でしたけど、今作も悲しみが胸にどーんと来ました。
一人の人間など簡単に壊してしまうような狂気の世界。
そんな世界に投げ込まれた人間の体験は、愛する家族でも簡単に理解できるものではありません。
帰宅後のサムは家族に心を開けず、ジョークに笑うことも出来ずに、
家族に疎外感を感じながら過ごします。
そして、彼の苦しみは消えることなく彼の心を蝕んでいきました。
一方の家族は、あまりにも変わってしまったサムに戸惑うばかりです。
妻と弟は昔の通り接しようとするのですけど、サムの方が受け入れてくれません。
妻と弟の仲の良さから、自分のいない間に何かがあったのではないかと疑いを持つのです。
また、娘たちも心を閉ざしてしまった父に怖さを感じ、優しく楽しいトミーの方が好きになっていきます。
そんな中で、サムはひとつの行動を起こしました。
それにしても、トビー・マグワイアの狂気の演技はもの凄い迫力でした~
彼の演じたサムがアフガニスタンでどんな体験をしたかがあまりにもリアルに伝わってきて
思わず逃げ出したくなりました(T_T)
そして、そんな体験をしても生還したサムが、どんなにか家族に会いたかったかをしみじみと感じました。
この作品に答えがある訳ではありません。
それでも観終った時、心に希望が残った気持ちになりました。
きっとこの家族はいつまでもサムを見捨てないだろうなあ…とちょっと考えた1本です。
監督:ジム・シェリダン 出演:トビー・マグワイア ジェイク・ギレンホール ナタリー・ポートマン サム・シェパード テイラー・ギア ベイリー・マディソン
2009年 アメリカ 原題:BROTHERS
(20100525)
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公式サイトはこちらへ追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月4日以降の予定です。