戦争の気配が色濃くなってきたイタリア・ボローニャ。
高校の教師ミケーレ(シルヴィオ・オルランド)は、自分と同じ高校に通う娘に深い愛情を注いでいた。
実は一人娘ジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)はちょっと癲癇気質があり、性格も幼児的なまま。
17歳になっても人と上手く接することが難しく、男の子と付き合ったことも無かった。
母デリア(フランチェスカ・ネリ)はそんな心を通い合わせるのが難しい娘に
優しい愛情を持てないことを気に病んでいた。
そんなある日、ミケーレは高校でジョヴァンナが一人の男子学生と嬉しそうに話している姿を見かける。
その男子学生が人気者だが落ちこぼれ寸前の生徒だと分かったミケーレは
留年させない代わりに娘と仲良くして欲しいと頼むことにした。恋する娘の笑顔を見たかったのだ。
だが、その行為は娘の誤解を招き、やがては大きな悲劇へと繋がっていった…
いろいろな愛の形が見えてきました。
ボローニャの高校で起きた世間を揺るがす事件。それは娘のジョヴァンナが起こしたものでした。
父ミケーレは何故、彼女が事件を起こしたのか理解した上で、娘の見方になろうとします。
彼は娘の無実を信じたのではなく、娘の行為をも含めた上で娘を受け入れます。
当然、学校はくびになり、親しかった町の人々からは冷たい態度を取られます。
それでもミケーレは可能な限り刑務所へ面会しに行き、何とか娘を支えていきます。
一方、母デリアはなかなか会いに行こうとはしません。
一度は刑務所まで行くのですけど、どうしても決心がつかず直前で引き返してしまいました。
ジョヴァンナが刑務所から精神病院へ移り、
金網越しにですけど監視なしで自然に話すことが出来るようになります。
これまでも父に会う度に、お母さんは?と聞いてきた彼女でしたけど、そのうちにとうとう、
母は会いに来られないのではなく自分に会いたくないのだと言い始めます。
そして、娘の言葉をきっかけにミケーレも、ミケーレの妻でありジョヴァンナの母であるデリアは
今の家庭にいることが幸せだと思っていないのではないかと考え始めます。
そして、彼は妻に対してある決心をしました。
それにしても面白い夫婦でした。
父は娘のために生き、妻は自分の幸せを求めていきます。
それが3人の幸せなのかと思ったのですけど、観ているとそうでもなさそうです。
きっと、アメリカでも日本でもない愛の形なのかも知れませんね。
見終わった瞬間にはあまりにも唐突にみえたラストも、
これがイタリア的にはありなのだなあと改めて考えてみました。
そして、ゆっくりと考えてみると、どんな激動を経ても家族は繋がっていると、
そして赦しあえるという想いを信じたくなるような気がしました。
観終った時はかなりあっけにとられたのですけど、2週間過ぎてようやく何か分かった気がした1本です(^^ゞ
監督:プピ・アヴァティ 出演:シルヴィオ・オルランド アルバ・ロルヴァケル フランチェスカ・ネリ
2008年 イタリア 原題:IL PAPA DI GIOVANNA
(20100728)
→
公式サイトへ