キリストの誕生から26年後の世界は強大なローマ帝国に支配されていた。
ジュダ=ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)の住むユダヤの国エルサレムでは
ローマから新総督が赴任することとなった。
総督赴任に先駆けてやって来た司令官を見たベン・ハーは喜びの笑顔を浮かべる。
その司令官はローマ人とユダヤ人という間柄ながら親友となった
幼馴染のメッサーラ(スティーヴン・ボイド)だったのだ。
肩を抱き合い再会を喜ぶベン・ハーだったが、話しているうちにどこか違和感を受ける。
純粋だった昔とは違い今のメッサーラは、長い年月の間にローマの帝国主義者となっていて、
自分がこの土地を支配するために、ベン・ハーをユダヤ人密告者になれと命令してきたのだ。
その命令をきっぱりと断った二人の間には大きな溝が出来てしまった…
一筋縄では行かない運命でした。
一人の男の数奇な運命をキリストとからめて描いた物語です。
主人公のベン・ハーはエルサレムではユダヤの豪商で土地の有力者だったのですけど、
親友だったメッサーラに裏切られ、事故だったのに重罪の罪人とされてしまいます。
裁判にもかけられず、母妹は牢屋送りに、自分はガレー船へ送りの刑に処されたのです。
当時はどちらも生きて戻ってくることの出来無い刑でした。
ベン・ハーはメッサーラへの復讐を胸にガレー船へ乗り込みます。
普通なら1年くらいで死んでしまうような重労働を耐え、3年間以上が過ぎました。
船が変わったベン・ハーは、そこでローマ帝国の将軍アリウス(ジャック・ホーキンス)と出会います。
ベン・ハーの瞳の強さに心を惹かれたアリウスはベン・ハーを自分に従事しないか誘いますが、
彼はそれは自分の運命ではないと断り、ガレー船の漕ぎ手へと戻ります。
楽になれる誘いを断る彼の姿に興味を持ったアリウスは、
決戦の日に漕ぎ手たちを繋ぐ鎖から、ベン・ハーひとりだけ外して席に付かせました。
そして、その出来事とその後に取ったベン・ハーの行動が、彼の運命を再び大きく動かし始めました。
それにしても、たった4年ほどの物語なのにあまりにも激動で壮大でした。
裕福な生活から一転してガレー船の奴隷の生活へ。
そして、今度はローマ人の養子として再び奇蹟のように復活し、怒涛の戦車競技へと向かっていきます。
また、ガレー船に送られることや有名な戦車競技のシーンのことしか知らなかったので、
こんなにもキリストの話だとは思っていませんでした。
実は彼はキリストと出会っています。
ベン・ハーがガレー船へ向かう旅の途中で挫けそうになった時、
兵の反対を押しのけて彼に水を与えた人こそキリストです。
紀元26年からの4年ほどの話になると、当然のように登場するのですね。
そこがちょっと興味深かったです。
キリストに運命を導かれるように展開されていくベン・ハーの物語を
ここまで迫力ある映像で創り上げた当時のスタッフの努力はどれだけだったろうかとしみじみ思いました。
やっぱりスクリーンで観ることが出来て良かったと感じた1本です。
監督:ウィリアム・ワイラー 出演:チャールトン・ヘストン スティーヴン・ボイド ハイヤ・ハラリート ジャック・ホーキンス ヒュー・グリフィス マーサ・スコット キャシー・オドネル
1959年 アメリカ 原題: BEN-HUR
(20100905)