授業に集中出来ずに学校で叱られてばかりのジョン(アーロン・ジョンソン)は、
家でも厳格なミミ伯母さん(クリスティン・スコット・トーマス)に態度の悪さを叱られてばかり。
でも、楽しくて優しいジョージ伯父さん(デヴィッド・スレルフォール)はいつもさり気無い気遣いでジョンを笑顔にしてくれた。
ある日、ジョージ伯父さんが1階から線を引いて、2階のジョンの部屋でラジオを聞けるようにしてくれた。
1階ではクラシック好きのミミ伯母さんがチャンネルを変えさせてくれないのだ。
だが、自分の部屋では自由に自分の好きなロックンロールを聴くことが出来る。
ジョンとジョージ伯父さんは大好きな音楽を聞きながら、うっとりとした笑顔でベッドに寝っころがっていた。
そろそろ行くからと伯父さんが部屋を出ようとしたところ、バタンと倒れてしまった。
一瞬、笑ってしまったジョンだったが、呼びかけても伯父さんは全く反応をしない。
救急車で病院へ運ばれた伯父さんは、そのまま亡くなってしまう。
その知らせを聞いたジョンはミミ伯母さんへ泣きながら抱きつこうとしたが、
伯母さんはそんな彼の手を振りほどくと、甘えるなと言わんばかりに部屋を出て行った…
無邪気で悪ガキなジョンが夢中になったのはバンドでした~
幼い頃に伯母夫婦に引き取られ、16歳になったジョン。彼は実の母親の顔を知りません。
彼はジョージ伯父さんのお葬式で、自分を見つめている女性の存在に気付きます。
仲の良いいとこにその女性のことを聞くと、微妙な反応をします。
実はその女性こそ、ミミ伯母さんの妹でジョンを産んだ母親ジュリア(アンヌ=マリー・ダフ)だったのです。
そしていとこは彼をジュリアの家まで案内してくれました。
突然にやって来たジョンをジュリアはまるで夢がかなったかのように喜びます。
ジュリアは内縁の夫ボビー(デヴィッド・モリッシー)との間に二人の娘がおり、幸せに暮らしています。
それでもジョンを忘れたことはありません。
ジュリアはまるで最愛の恋人に再会したかのようにはしゃぎ、笑顔でジョンと遊ぼうとします。
手放しで自分を受け入れてくれる笑顔をとても嬉しく感じたジョンは、それから時間を作ってはジュリアに会いに来るようになりました。
バスの中での悪戯が学校にバレたため停学になったジョンは、停学の事実をミミ伯母さんに隠して
ジュリアの家で時間を過ごすようになります。
さすがに困ったジュリアはジョンに自分の得意なバンジョーの弾き方を教え始めると、彼は次第に楽器演奏に夢中になっていきます。
でも、楽しい日々は続きません。ミミ伯母さんに停学が発覚し、ジョンはジュリアに自分を彼女の家へ置いてくれと懇願します。
でも、彼女は夫ボビーの説得を聞いて、再びジョンをミミの下へ手放してしまいました。
全体的には母親の愛の物語が中心ですけど、観ていて興味深かったのはジョンが音楽の道へ入っていくところです。
彼は元々ロック好きでしたけど、実の母と出会って楽器を弾くことを覚えます。
やがて自分が中心になって仲間たちでバンドを作り、演奏活動を始めます。
ジョンをはじめ、技術的にはほとんど素人のバンドです。
それでもロックを演奏することで人の目を引き、やがてポール・マッカートニー(トーマス・ブローディ・サングスター)と出会います。
面白かったのはガキ大将的な悪ガキのジョンに比べて、ポールは真面目で技術的にも高いところです。
独学でいくつかのコードを知っているだけだったジョンは、ポールにギターの弾き方を教わります。
最初はポールに教わっていたのか~とビートルズについてあまり知らなかった私はちょっと感動でした。
バックに流れている音楽の数々を心地よく思いながら、
この少年たちか世界を圧倒するロックバンドになったのだなあとしみじみ感じた1本です。
監督:サム・テイラー=ウッド 出演:アーロン・ジョンソン アンヌ=マリー・ダフ クリスティン・スコット・トーマス デヴィッド・スレルフォール デヴィッド・モリッシー マス・ブローディ・サングスター トーマス・ブローディ・サングスター サム・ベル
2009年 イギリス/カナダ 原題:NOWHERE BOY
(20101122)
→公式サイトはこちらへ http://nowhereboy.gaga.ne.jp/