ヴィンセント・ギャロ主演のサスペンスです。
男が白く雪に覆われた森の奥深くを必死に逃げていく予告編がとても気になっていました。
手当たり次第に人を殺し、少しでも前へ進もうとする主人公の執念に圧倒されました。
アフガニスタンの砂漠をひとり彷徨っていたモハメド(ヴィンセント・ギャロ)は、アメリカ軍の兵士たちの大捜索により捕らえられた。
しばらくすると、マスクを被せられて航空機に乗せられる。
遠い国の飛行場へ到着すると、そこからトラックに乗せられ、再び移送された。
だが、雪道を走っていたトラックが事故を起こし、モハメドたちは外へ投げ出されてしまう。
暗闇の雪の中、兵士達の捜索の目を逃れたモハメドは着の身着のままで逃走を始めた…
この人は何のために前へ進むのだろう…と考えながら観ていました。
アフガニスタンの戦士らしい人がひたすら逃げ続ける物語です。
彼がどんな人で、なぜアメリカ軍と敵対しているのかはよく分かりません(^^ゞ
ただ、彼は障害となる者はどんどん殺しながら逃げ続けます。
彼の行く先にはどんどん死体が増えていくのです。
でも、彼がどこに逃げたいのかも明らかには告げられません。
ただひたすら前へ進むのです。
食べ物が無ければ木の皮や虫を食べるし、生きるためには誰だって襲います。
彼の前に立った人は、突然に生きるか死ぬかの勝負を仕掛けられているようなものです。
そして、彼は勝負に勝ちながら前へ進んで行きました。
それにしても、不思議な作品でした。
必要以上に説明が無く、ただひたすらヴィンセント・ギャロの狂気のような逃走を観させられます。
疑問も何もかも、彼の見せる必死の形相の前には言葉は要らないでしょうという感じです。
そして、あっけなくも感じるようなラストに、ほっとため息をつきました。
この作品でヴィンセント・ギャロはヴェネチア映画祭の主演男優賞をとりました。
それは納得だなあと思った1本です。
監督:イエジー・スコリモフスキ 出演:ヴィンセント・ギャロ
2010年 ポーランド/ノルウェー/アイルランド/ハンガリー 原題:Essential Killing
(20101028)
追伸
この映画は東京国際映画祭で観ました。公開は7月30日以降の予定です。