“若い母親”（ミシェル・ウィリアムズ）はいつも寂しい想いを抱いていた。
警察官の夫は爆発処理班に所属しているため、いつも不規則に呼び出されるし、
ストレスに晒されているため気難しくて近寄りがたい存在になっていたのだ。
そんな彼女の心の支えになっているのは４歳の息子だ。
息子はいつも彼女と一緒に過ごし、笑顔を彼女に与えていた。
息子と一緒なら低所得者が住む公団アパートの暮らしでも、彼女には最高の家だった。
ある夜、爆弾処理に呼び出された夫を見送った彼女は、夫への心配から居ても立ってもいられなくなった。
近所に留守を頼むと、酒を飲んで気晴らしをするため一人で近所のパブへ向かった。
そんな彼女に声をかけたのは、公団アパートの隣の高級住宅街に住むジャスパー（ユアン・マクレガー）。
彼の愛想の良さと会話に惹かれた彼女は、つい彼の家へ行き一夜を共にしてしまった…
息子を亡くした喪失感が本当に痛々しかったです(T_T)
主人公は夫との距離に寂しさを感じつつも息子への愛で満たされていた若い母親です。
彼女は休日にサッカー場へ大好きなアーセナルを応援に向かう夫と息子を見送った後、
偶然、ジャスパーに声をかけられます。
彼も同じ試合を観にサッカー場へ向かおうとしていたところでした。
彼女はあの夜のことは間違いだったと言いつつも、家でサッカーの試合を観ながら気楽に過ごすのだと彼に告げます。
結局、ジャスパーはサッカー場よりも彼女を選び、二人は彼女の家で２度目の逢瀬を楽しみ始めました。
すると突然、爆発音が響き、サッカーのテレビ中継が中断されてしまいます。
自爆テロによりサッカー場が爆破されてしまったのです。
彼女はジャスパーに頼み、すぐさまサッカー場へと向かいます。
避難する人々に逆行し、闇雲に息子を探そうとする彼女は二次災害に巻き込まれてしまいます。
そんな彼女が息子の死を確信した時、彼女の心も砕け散ってしまいました(T_T)
それからの彼女の姿はあまりにも痛々しかったです。
彼女は息子の死を受け入れられず、さまよい続けます。
彼女の心にはテロの数日前に息子と二人で遊んだ海岸の思い出が甦ります。
彼女の時間はそこで止まったままなのです。
そんな彼女を二人の男性が近付きます。
ジャスパーと、彼女の夫の上司だったテレンス（マシュー・マクファディン）です。
彼女にとってジャスパーは裏切った罪を思い出させる人で、彼もそれは分かっています。
でも、少しでも彼女のためにと、彼は新聞社仲間のつてでテロ事件の真相を探り始めます。
そして、次第に警察が隠していた事実が浮かび上がってきました。
それにしても、ミシェル・ウィリアムズの演技が素晴らしかったです。
彼女の姿を観ているだけで、子供を失った痛みが真っ直ぐに伝わって来ました。
彼女がカウンセリングで勧められたオサマ・ビン＝ラディンへの手紙も
とても素直な言葉で書かれていて良かったです。
特にラストの手紙には泣かされました(T_T)
テロという背景はありますけど、子供という希望の素晴らしさと子供の命の大切さを伝えてくれる作品でした。
観に行って良かった～としみじみ思った１本です。
監督：シャロン・マグアイア 出演：ミシェル・ウィリアムズ ユアン・マクレガー マシュー・マクファディン ニコラス・グリーヴス
2008年 イギリス 原題：INCENDIARY
（20110121）
→公式サイトはこちらへ http://blown-apart.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は1月29日以降の予定です。