母を病で亡くし、幼い妹と残されたベイビードール(エミリー・ブラウニング)は深い悲しみを感じていた。
保護者の継父はうわべとは裏腹に腹黒い男だった。
彼は母の遺言で遺産が娘二人に遺されたと知ると怒りを爆発させ、ベイビードールを襲おうとする。
彼女が何とか部屋へ逃げ込むと、部屋の鍵を掛けて閉じ込め、今度は眠っていた妹に向かい始めた。
妹を守ろうとした彼女は、二階の部屋の窓から何とか脱出すると、ピストルを持って継父へ立ち向かう。
だが、ベイビードールの撃った弾は継父をそれて電球を壊し、妹に致命傷を与えてしまった。
継父の通報により警察に捕らえられた彼女は精神病院へ送られてしまった…
台詞が少ない分、映像が全てを物語っていました。
母と妹の死、そして遺産を狙う継父に病院送りにされてしまった少女ベイビードールの物語です。
彼女の現実である病院の中は監獄のようです。
屈強な看護師たちに監視され、全ての管理を司っているブルー(オスカー・アイザック)は
継父から賄賂をもらってベイビードールにロボトミー手術を受けさせようとします。
手術の予定は5日後。
彼女は何とか病院を脱出しようと考えます。
この現実をベースに、ベイビードールやスイートピー(アビー・コーニッシュ)をはじめとする患者たちの世界は
娼館の世界へと切り替わります。そこでは彼女たちはステージをこなすダンサー兼娼婦です。
悪夢の中の悪夢という感じで、「インセプション」みたいでした。
同じなのは常に管理されていて嫌なことも強制され、逃げ出せないという状況です。
その娼館の世界でも5日後にベイビードールに悲運が待ち受けています。
そして、彼女は他の娼婦たちと仲間となって、この娼館から逃げ出そうと計画を立てます。
計画を実行するに当たってポイントになるのは、ベイビードールのダンスです。
ダンスが始まるとトランス状態になり、また別の世界へと入り込みます。
そこでは彼女は仲間たちと共に特殊部隊として戦場や危険な現場へと乗り込みます。
そして、ワイズマン(スコット・グレン)に課せられた任務が
そのまま娼館脱出へのアイテム集めとなっていきます。
アイテムは地図、火、ナイフ、鍵、そして最後に分かる何かの5つです。
でも、次第に彼女たちの計画遂行は厳しい状況に陥っていきました。
それにしても、かなり救いの無い物語でした。
ラストは救いと言うよりは絶望のような気持ちになりました。
それでも、ベイビードールの行動が現状を大きく変えていったのも確かです。
それを成功と呼ぶかどうかは、彼女がいかに納得して突き進んでいったのかによるかもしれません。
そして、彼女は全てを知った上で自分の道を進んでいきました。
ゲームのような戦いの映像は、何となく押井守監督の実写の世界のようで面白かったです。
物語はともかくとして、映像の世界には最後まで魅せられた1本です。
監督:ザック・スナイダー 出演:エミリー・ブラウニング アビー・コーニッシュ ジェナ・マローン ヴァネッサ・ハジェンズ ジェイミー・チャン オスカー・アイザック カーラ・グギーノ ジョン・ハム スコット・グレン
2011年 アメリカ/カナダ 原題:SUCKER PUNCH
(20110408)
→公式サイトはこちらへ http://wwws.warnerbros.co.jp/suckerpunch/index.html追伸
この映画は試写会で観ました。公開は4月15日以降の予定です。