もうすぐ大晦日が近付いていた年末のある日のこと。
便利屋の多田(瑛太)のもとに、チワワを預かって欲しいという主婦がやって来た。
1月5日に家まで届けるという約束でチワワ受け取った多田は、年末年始を犬と過ごすことになった。
年も明けて最初の仕事の依頼は、お得意様の岡(麿赤兒)からだった。
庭掃除と共にバスの運行状況を調査して欲しいというものだ。
バス停の傍に住む岡は、何故かバス会社が時刻表とは違って間引き運行されていると疑っていた。
チワワと共に岡の家に赴いた多田は1日働くと、運行状況に異常は無いと報告して帰宅しようとした。
チワワを探しに道路へ出た多田は、バス停のベンチにチワワを抱えて座っている男を見つける。
その男は高校の同級生で、多田にとっては苦い思い出のある行天(松田龍平)だった…
人が生きることの難しさと心の柔らかさと小さな希望を感じるような作品でした。
無造作な髪型と無精ひげとダラッとした作業服でいつも過ごしている多田。
彼が何故、ビルの一角にある倉庫のようなガランとした部屋で暮らしているのか、
何故、便利屋を仕事にしているのかは、始めは分かりません。
それは多田の相棒となる行天(松田龍平)も同じです。
ただ、二人には離婚歴があることや、行天には見知らぬ子供がいるらしいという感じです。
彼らの過去は様々な仕事と、仕事にまつわる出来事を通して次第に少しずつ解明されていきました。
便利屋には誰もが何となく、仕事以外に何かを押し付けたくなるものみたいです。
最初のチワワにしろ、塾通いの小学生のお迎えにしろ、多田便利軒には仕事外の問題が生まれてきます。
その対処法に多田と行天の性格が反映されているところが面白いです。
二人はどうも子供には弱いようです。
現実を教えて突き放すようでいて、最後までちゃんと面倒をみようとします。
その根底にある優しさには、ほろりとさせられました。
また、彼らが何故そこまで子供や親子関係に親身になれるのかを知った時、
彼らの抱えていたものの重さに切なさが込み上げてきました。
それにしても、主演の瑛太さんと松田龍平さんのコンビはいいですね~
この二人のかもし出す雰囲気がとても好きでした。
彼らの周りに登場する人々のちょっと不思議なキャラクターも楽しかったです。
そして、彼らの作り出す“まほろ”という街の雰囲気もちょっと怪しくて面白かったです。
主人公の中で1年の月日がどんな役割を果たしたかと考えると、ちょっと希望を感じました。
物語は終わってしまいましたけど、この二人のコンビをまたどこかで観てみたいなと思った1本です。
監督:大森立嗣 出演:瑛太 松田龍平 横山幸汰 柄本佑 片岡礼子 鈴木杏 本上まなみ 松尾スズキ 麿赤兒 大森南朋 高良健吾 岸部一徳
2011年 日本
(20110504)
→公式サイトはこちらへ http://mahoro.asmik-ace.co.jp/