1969年の安田講堂の闘争でピークを迎えた学生運動は、次第に収束へと向かっていた。
新聞社の雑誌記者として学生たちを見つめていた沢田(妻夫木聡)は、自分が何も出来ずに
取材側に回っていることに虚しさを感じていた。
そんなある日、先輩記者の中平(古舘寛治)に付いて行った彼は
左翼思想家を名乗る学生・梅山(松山ケンイチ)と出会う。
梅山は言葉巧みに語り、自分のやりたいことを嬉しそうに話していた。
中平はそんな梅山に怪しさを感じたが、沢田は疑いながらも梅山の言動に次第に惹かれていく。
そして、とうとう梅山が過激な行動に出る日が来た…
二人の主人公はそれぞれ何を目指していたのだろうかと考えてしまいました。
1960年代の後半から1970年代にかけての日本が大きく動いていた時代を生きた二人の青年の物語です。
一人は雑誌記者の沢田、もう一人は学生運動家の梅山です。
沢田は自分の伝える記事にどんなことをどんな言葉を使って書いていくかを悩みながら日々を過ごしています。
一方の梅山は自分の考えに同意してくれる学生たちと共に、派手な学生運動を繰り広げようと考えていました。
そんな中で、二人は出会います。
カリスマ性を持って熱く語る梅山に、沢田は梅山に惹かれると共に、
彼を追ってスクープを取りたいと考えます。
また、梅山はマスコミを利用して自分の行動の正当化と宣伝を行ないたいと考えます。
二人の思惑が絡み合った時、次第に梅山の本当の顔が見えてきました。
それにしても、熱い時代でしたね。
語られる言葉の熱さに、やっぱり今の日本とは違うなと感じました。
純粋に信念を持つこと。運動家となって自分の目的を達すること。
そんなふうに真っ直ぐに生きようとしている主人公たちはスクリーンに輝いてるように見えました。
そして、そんな沢田と梅山を演じた妻夫木さんと松山さんの姿はそれぞれのキャラクターにぴったりで
その時代を自分なりに生きようとした若者たちの姿を体現していました。
様々な想いが重くうごめく時代の中で、二人はこういうふうにしか生きられなかったのだなと感じました。
映画館を出た時、久々に外の空気がほっと感じるような作品だったなと思った1本です。
監督:山下敦弘 出演:妻夫木聡 松山ケンイチ 中村蒼 石橋杏奈 韓英恵 忽那汐里 古舘寛治 中野英樹 松浦祐也
2011年 日本
(20110604)
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