クラスメイトの18歳の誕生日に集まった学生たちは、思い思いにパーティを楽しんでいた。
具合が悪いと訴えた少女を伴って近所の森に散歩に出たカップルは、森の中で遺体を見つける。
慌てて戻った二人は、仲間たちに遺体をみつけたと青い顔で訴えた。
その時、彼らの脳裏には、10日以上前から行方不明になっていた
一人のクラスメイト、シモンの顔が思い浮かんでいた…
4人の視点という構成で展開されるストーリーが面白かったです。
舞台は田舎の町のハイスクールです。
サッカー部に所属する少年。
彼が惹かれている、シモンの恋人の少女。
シモンが行方不明になってから悪い噂を立てられた教師の息子。
行方不明になったシモン。
この4人の視点から同じ出来事と人の動きを捉えながら、物語は動いていきます。
消えたシモンはごく普通の少年です。
可愛い彼女もいて、成績や母の病に悩むことはあっても、なぜ消えてしまったのかは分かりません。
当初、警察は家出の方向で捜査をしていましたけど、
学校の科学室に彼の血痕が残っていたことから事件性の可能性も起き始めます。
それでも10日が過ぎても彼は現れません。
そして、彼が消えてから同じクラスの少年や少女が家を出た行方不明になっていきました。
同じ時間をほかの3人の視点から見ていくと、謎が少しずつ解けてきます。
なぜ、シモンは少女と別れたのか。
なぜ、シモンの血痕が残っていたのか。
なぜ、科学の教師は悪い噂を立てられてしまったのか。
シモンの行動が明らかになるにつれて、少しずつその謎が明らかになってきます。
そして、行方不明になった少年や少女の行動も見えてきました。
それにしても、シンプルなのに面白いストーリーでした。
4人の視点で見ていくと、様々なシーンが全く違う意味になって謎が解けていきます。
よくニュースをどんなふうに捕らえて流すかによって印象が全く変わると言われますけれど、
この映画もそのからくりを使って観ている者を惑わせます。
普通の若者の恋を描いた青春映画のようでいて底辺にサスペンスがあるという怪しさに
ちょっとドキドキしました。
観終わった時、ほろ苦い哀しみと共に、10代の少年少女の若さを感じました。
やっぱり、フランス映画をじっくり観るのは楽しいなと思った1本です。
監督:ファブリス・ゴベール 出演:ジュール・ペリシエ アナ・ジラルド イヴァン・タッサン ヤン・タッサン
2010年 フランス 原題:SIMON WERNER A DISPARU
追伸
この映画はフランス映画祭で観ました。公開予定は未定です。