手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ！美しく

手塚治虫著の「ブッダ」を原作に描いたアニメです。
予告編を観て、この作品はどうなのだろうかと思っていたのですけど、
やっぱり気になるのでチャレンジしてみました。
さすがにテーマが重くて、うーんと唸りながらスクリーンを見つめていました。

ブッダの誕生から彼が修行に入るまでの人生を描いた作品です。
この物語をコミックに仕上げた手塚治虫氏の凄さをしみじみと感じる作品でした。

小国ながら緑豊かな国の王子として生まれたシッダールタ。
生まれた時に母をなくした彼は、戦うことや殺生を嫌うような穏やかな性格の少年です。
でも、父王に無理やり戦いを覚えさせられ、身分を越えて愛し合った女性とは強制的に別れさせられて
将来は国を守る王として生きることを強要させられます。

一方、奴隷の身分に生まれ、虐げられながらも大切な母を守ろうとしたチャプラ。
彼は軍事力で国土を広げようとする大国の将軍と偶然に出会い、それをきっかけに奴隷の身分を隠して
軍で力を付けて行きます。
将軍の養子になった彼は、戦いで秀でた才能を見せて国の英雄となります。
でも、その栄光は長くは続きませんでした。

それにしても、戦争のシーンが多い物語でした(T_T)
激しい戦いと、その後に訪れる静寂や兵士たちの遺体の山。
そんな戦いを目の前で見てしまったら、それはもう悟りを開きに修行に出たくなるでしょうと思いました。
また、身分制度というのは厳しいものだなとしみじみと感じました。
どんなに能力があっても奴隷という身分を越えることが出来ない理不尽さが何とも言えなかったです。

人が生きていくには様々な辛さを背負わなくてはならないのだなと切なくなりました。
“どうしようもないことを、どうにかしようとする”ことが辛さを生み出すと言われて
一体どうしたらいいのだろうかとちょっと途方にくれてしまった1本です。



監督：森下孝三　出演：吉永小百合　堺雅人　吉岡秀隆　観世清和　折笠愛　竹内順子　玄田哲章　水樹奈々　櫻井孝宏
2011年　日本
（20110628）

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