下宿屋を営む祖母と暮らしている松崎海(長澤まさみ)の朝は早い。
誰よりも早く起きて朝ごはんの支度をし、海へ向かって旗を揚げるのが日課だ。
海は下宿人たちと祖母、妹が揃ったテーブルで朝ごはんを食べ、後片付けをして洗濯機を済ませると
ようやく港南学園へと向かい始めた。
学園では明治時代に建てられた部室塔として使われている建物の取り壊しに生徒たちが揺れていた。
賛成派と反対派に大きく分かれ、議論が決着しない。
そんなある日、友達とお昼ご飯を食べていた海の目の前に、男子生徒が空から落ちてきた。
思わず池に駆け寄って生徒を助けようとした海だったが、
彼の無邪気な笑顔に思わず手を離して逃げ帰ってしまう。
それが海と風間俊(岡田准一)との出会いだった…
とても明るくて元気な学生たちの雰囲気が楽しかったです(^^ゞ
翌年に東京オリンピックを控えた年の横浜を舞台にした青春物語です。
お釜で炊くご飯。みんなで揃って食べる朝食。そんな素敵な朝から1日が始まります。
これが当時の日常だったのだなとちょっと懐かしく感じました。
でも海は両親と暮らしていません。
父は朝鮮戦争で亡くなり、母は勉強のためにアメリカへ留学中です。
海は祖母の下宿屋を切り盛りしながら、妹と居候をしています。
この時代は急成長に沸く中で、そんな戦争の影を引きずっていました。
それにしても、心地よさを感じる作品でした。
新しいものこそ良いという風潮の中で、学生たちが伝統の建物を守ろうとする姿には
学生だからこその自由さと無邪気さと強さを感じました。
そんな彼らの愛する埃だらけの建物“カルチェラタン”は、まるでハウルの城のようで楽しかったです。
また、淡い恋に悩む主人公たちが初々しくて可愛かったです。
反面、そんな二人の関係を複雑にしてしまった時代の厳しさを改めて感じました。
あと、何と言ってもこの時代の横浜の風景が楽しかったです。
特に路面電車には乗ってみたいなあと思いました(^^ゞ
観終わった時、これは学生時代を忘れてしまった大人への作品だなと感じました。
この時代に生きていたら、自分はどんな人生を送っただろうかとちょっと考えてしまった1本です。
監督:宮崎吾朗 声の出演:長澤まさみ 岡田准一 竹下景子 石田ゆり子 風吹ジュン 内藤剛志 風間俊介 大森南朋 香川照之
2011年 日本
(20110717)
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