ウスバル(ハビエル・バルデム)は移民たちの仲介屋として、バルセロナの裏社会に名が知られている男。
外では悪どいこともしているが、家庭では小学校へ通う娘と息子を大切にしている父親だ。
ウスバルは中国から来た密航者たちが働かされている闇工場で作られた偽ブランド品を
アフリカから来た不法移民たちにストリートで売りさばくよう渡して仕事をさせていた。
だが、中国人たちが作る偽商品にはまともにつかえないような粗悪品がまざっていたり、
ストリートで売るアフリカ人たちは金を稼ぐためにドラッグを売り捌いていた。
商品の出来を向上させるのも、ドラッグ販売を止めさせるのも彼の役目だった。
だが、彼らはウスバルの言葉には耳を傾けず、事態は思わぬ方向へ向かっていった…
誰もが信じられなくなってしまうような展開でした(T_T)
ウスバルは裏社会で生きるために違法なこともしていますけど、基本的には悪人ではありません。
精神を病んで躁鬱状態になる妻と離婚し、子ども二人を育てています。
仕事が多忙であまり世話は出来ませんが、子どもたちにとってはかけがえの無い父親です。
そんな彼が余命2ヶ月の宣告を受けます。
ウスバルには頼れる人がいません。
元妻はウスバルや子ども達を愛してはいますけど、なにせ精神的に不安定で
時には暴力で子どもを傷付けてしまいます。とても安心して預けることが出来ません。
遊び好きの兄は、楽しむことばかりに気を取られて弟の相談などは二の次です。
そうこうしている間にウスバルの病は進行し、ついに痛み止めに頼るようになっていきました。
それにしても、哀しい展開でした。
ウスバルは死にたくないと足掻きますけど、死はすぐに迫ってきます。
それはもう容赦無いです。
せめて、子どもたちが今後も暮らせるようにとお金を貯めて画策します。
そして、そのまま時間が過ぎていってしまいました(T_T)
彼は子どもたちに何が出来たのだろうかと思うと切なかったです。
ただ、彼が生きていたことを、彼という父親に愛されていたことを
子ども達がずっと覚えてくれていることを祈るばかりだった1本です。
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演:ハビエル・バルデム マリセル・アルバレス アナー・ボウチャイブ ギレルモ・エストレヤ エドゥアルド・フェルナンデス ディアリァトゥ・ダフ チェン・ツァイシェン
2010年 スペイン 原題:BIUTIFUL
(20110723)
→
公式サイトはこちらへ http://biutiful.jp/index.html