プロの登山家を目指すラインホルト(フロリアン・シュテッター)とギュンター(アンドレアス・トビアス)の
憧れの山はヒマラヤ山脈の中でも難所とされるあるナンガ・パルバート。
中でもルパール壁は前人未踏の登山ルートで、そこを踏破することは遠い夢として胸に抱いていた。
子供の頃から山を身近に感じながら育ってきた彼ら兄弟にとって、それは忘れられない夢だ。
そして1970年、その夢が現実になる日が来た。
亡き兄の遺志を継ぐと強い願いで何度もナンガ・パルバートに挑戦しつつも果たせていなかった
カール・マリア・ヘルリヒコッファー博士(カール・マルコヴィクス)の遠征隊に入ることが出来たのだ。
だが、登頂への道のりは険しかった…
兄弟の絆を砕くのが山なのだなと胸が痛くなりました。
遠征隊に参加し、ナンガ・パルバートに挑戦したメスナー兄弟の物語です。
二人は子供の頃から高い壁でロッククライミングをしているようないたずらっ子で
いつかは有名なプロ登山家になることを夢見る少年でした。
ただ、兄が積極的に登山家を目指すのに対して、弟は兄に憧れて付いて行きたいという感じです。
兄としては可愛くて深い信頼の置ける大切な弟でした。
でも、経験も強さも秀でている兄ラインホルトに対して、弟ギュンターはそれほど強靭ではなかったようです。
出立前に母が兄に対して弟を頼むと言うように、弟の方が心配だったみたいです。
そして、その心配は現実になってしまいました。
この実話は帰国後にラインホルトとカール博士とで裁判沙汰になったために話題になってしまったようですね。
映画ではそのあたりはちょっと触れるだけで、メインは兄弟の登山の様子です。
山の厳しさと極限状態での恐ろしさ、そして一人生還したラインホルトのもがくように弟を探そうとする姿に
映画ということを忘れてスクリーンに見入りながら、胸が締め付けられました。
何と言っても登山のシーンのリアルさには驚くと共に、思いっきり引き込まれてしまいました。
エンドロール前にテロップでその後も何年も弟を探しに行ったことや、
2006年にようやく見つかったことが分かって何とも言えない気持ちになりました。
観終わった時、それでも山がある限り、山を目指す人がいるのだなとしみじみ思った1本です。
監督:ヨゼフ・フィルスマイアー 出演:フロリアン・シュテッター アンドレアス・トビアス カール・マルコヴィクス シュテフェン・シュローダー レナ・シュトルツェ マティアス・ハービッヒ
2009年 ドイツ 原題:NANGA PARBAT
(20110824)
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