長野県松本市にある本庄病院では夕方の賑わいを見せていた。
365日24時間対応する救急病院として看板を掲げているこの病院には、
昼夜を問わず患者がやって来るのだ。
今夜の夜間担当医師・栗原一止(櫻井翔)がもさっとした雰囲気で救急治療室へとやって来ると、
すぐに看護師の外村(吉瀬美智子)は“内科医”から“救急医”へ名札を取り替えた。
実は彼は“引きの栗原”という異名を持っているほど、彼の担当する夜には何故か患者が大挙する。
そして、今夜は長い夜が始まったばかりだった…
どんな道を進むのか悩む主人公の姿に、人としての良心を感じました。
若き医師・栗原一止と彼の家族や仲間たちを描いたドラマです。
彼はぼさっとしている風貌に加えて、夏目漱石を愛読し、
昔ながらの口調で話す癖があるちょっと変わった医師です。
でも、その風貌とは裏腹に良い腕を持ち、患者に親切で看護士たちの信頼も厚い医師でもあります。
そんな彼が出会うのは一癖も二癖もある患者ばかり。
肝臓疾患のためにアルコールを止められた夫に付き添ってきた妻が、
“焼酎は全部捨てました。今はビールと麦茶だけ”というシーンには笑ってしまいます。
そんなふうに日々、外来と救急医として寝る間も無く勤めるうちに、早くも5年が過ぎていきました。
ある日、彼は大先輩の貫田“古狸”先生に大学病院の医局を訪問するように言われます。
医師として、医局へ行くか本庄病院で勤め上げるかの選択を考える時期が来たのです。
1週間の医局研修で外来を担当した時、彼は末期がんに侵された安曇(加賀まりこ)と出会います。
別の病院で手術不可の診断を出されてしまった彼女は、藁をも縋る思いでやって来たのです。
そして、その出会いは栗原の医師としての道を大きく動かして行きました。
それにしても、櫻井翔さんは悩める栗原一止が似合いましたね。
最初はあのパーマ頭は?と思ったりもしたのですけど、ぼさっとした独特のテンションを観ているうちに、
次第に“栗原先生”に見えてくるのが面白かったです。
いつの間にか栗原先生と一緒に物語を追っていたので、特に途中でゴンと頭をぶつけるシーンでは、
見ていた私も思わず痛っと頭に手をやってしまいました(^^ゞ
原作でも心を動かされた学士さんの卒業シーンと安曇さんの笑顔にはやっぱり泣かされました。
観終わった時、改めて医療のあり方をいろいろと考えてしまった1本です。
監督:深川栄洋 出演:櫻井翔 宮崎あおい 加賀まりこ 柄本明 池脇千鶴 朝倉あき要潤 原田泰造 岡田義徳 吉瀬美智子 西岡徳馬
2011年 日本
(20110827)
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