マドリードの劇団に所属する喜劇役者のホルヘ(イマノル・アリアス)は
二人組でコントのような笑劇を見せるのが得意な役者だ。
いつもペアを組んでいるエンリケ(ルイス・オマール)と共に、いつも客席に笑いを巻き起こしていた。
ある日、家路へ向かう途中で避難を勧告するサイレンが鳴った。
内戦が激化し、都会のマドリードでも爆撃が起きるようになっていたのだ。
怪我をした市民が泣き叫ぶ中、慌てて家へ急いだ彼が必死に家のあるアパートへたどり着くと、
家族がいるはずのアパートが破壊されてしまっていることに衝撃を受ける。
それでも必死に家のあった階までたどり着いたが、そこには無残な姿になった妻と息子が瓦礫に埋もれていた…
ラストシーンに救われた気持ちになりました(T_T)
大変な時代を必死に生きようとした喜劇役者と、彼の出会った少年との心の交流を描いた物語です。
主人公のホルヘは人気の喜劇役者でしたけど、家族を失った後、
パートナーだったエンリケにも行き先を告げず、1年も行方をくらまします。
ある日、劇団のもとに幼い少年ミゲル(ロジェール・プリンセプ)が訪ねてきます。
芸人として出演したいというのですけど、ろくな芸は出来ません。
両親を亡くして行く当ての無い少年を不憫に思ったエンリケは、ミゲルを自分の家へ連れ帰ります。
そこに突然帰郷したホルヘも加わって、3人の生活が始まって行きました。
3人の生活のシーンは楽しいです。
心優しいエンリケとしたたかに生きてきたミゲル。
そして、いつも厳しい態度を取るけれど心の底ではミゲルのことを気にかけているホルヘ。
彼らが次第に強い絆で結ばれていく姿は微笑ましかったです。
それだけに、彼らのような芸人が置かれている状況の厳しさや軍人が強権を振り回している姿には
胸が痛くなりました。
そして、これが平和な時代だったらなと思わずには居られませんでした。
ホルヘとミゲルの願いがどんなふうに叶ったかが分かるシーンには涙々でした(T_T)
ラストの映像の優しさにほっとしながら観終わった1本です。
監督:エミリオ・アラゴン 出演:イマノル・アリアス ルイス・オマール ロジェール・プリンセプ カルメン・マチ
2010年 スペイン 原題:PAJAROS DE PAPEL/PAPER BIRDS
(20110923)
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