1990年代に渋谷で起きた殺人事件をベースに創り上げた園子温監督最新作です。
実はこれまで園子温監督作品は気になっていたのに未見でした。
今回はやっぱり怖そうなのですけど、女性たちの姿を描いた作品だったのでチャレンジしてみました。
強烈な毒がたくさん詰まっていました~
一つの殺人事件から結び付いた3人の女性の物語です。
まずは夫&一人娘と暮らす吉田和子(水野美紀)。彼女は事件を担当する刑事です。
後輩の刑事と共に事件の捜査を進めていきます。
でも、彼女には家族に言えない秘密を抱えていました。
次は著名な作家の貞淑な妻・菊池いずみ(神楽坂恵)。
彼女は自分を見失ってもがくうちに、どんどん落ちていきます。
いずみは他人に目を付けられて次第に自身を変えられていくのですけど、
それは彼女の心の底にあった願いでもありました。
いずみが運命的に出会うのが3番目の女性・尾沢美津子(冨樫真)です。
彼女は昼間は美しく賢い一流大学の助教授で、夜は円山町を徘徊する女になります。
この人が一番壊れています。
ただ、その壊れ方も意味があるもので、この人はこういう生き方しか出来ないのだなと感じました。
そして一番強烈なのが尾沢美津子の母親・尾沢志津(大方斐紗子)です。
この人の存在感は全てを圧倒していました~
ある意味、この人がここまで壊れていなかったら美津子もあんなに壊れず、
そうしたら、いずみの人生もここまで変わらなかったろうなと思います。
ただ、どちらが幸せかは本人の気持ち次第なのですよね。
その心境はラストのいずみの表情と和子の表情が物語っていました。
それにしても、さすがにハードですね~
裸もいっぱい出てきますし、さすがはR-18です。
ただ、出だしの遺体の様子はきつかったですけど、その後の彼女たちの姿にはどのシーンでも
歪んだ生き方を背負わされた女たちの哀しみの咆哮という感じがしました。
そして、その執念に圧倒されました。
観終わってすべてが解ったかと言われると、う~んと考えるところもありますけど、
女性の深層の部分をこんなふうに描き出すのはすごいなと感じました。
また、監督に応えた女優たちの演技もものすごかったです。
次作の『ヒミズ』も楽しみになった1本です。
監督:園子温 出演:水野美紀 冨樫真 神楽坂恵 大方斐紗子 津田寛治 小林竜樹 二階堂智 児嶋一哉 五辻真吾 深水元基 内田慈
2011年 日本
(20111012)
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