パキス(ギタ・ノファリスタ)はバジョ族の女の子。
漁に出たまま帰ってこない父を想いながら、いつも鏡で占いをしていたが、鏡は父の姿を映し出してくれない。
母はもう父の死を受け入れはじめていて、いつまでも鏡を手放さないパキスに渋い顔をしていた。
そんな彼女の家に、都会からイルカの調査員がやってきた。
村長からパキスの家に滞在させるようにと命令が出たのだ。
パキスは父の居場所がなくなるような気がして、その命令を不満に感じた。
だが反面、彼女は新しい文化を見せてくれる調査員に興味がいっぱいだった…
少女の素直な視線を感じながら、スクリーンを見つめていました。
海上で暮らすバジョ族の生活風景を映し出した作品です。
パキスは海から帰ってこない父をいつも想っています。
でも、大人たちはみな死を悟っています。
父の行方を占うために鏡を見つめ続けるパキスを母は心配しています。
パキスたちにとって、海は恵みをくれたり生活をさせてくれる場ですけど、同時に災いももたらします。
父への寂しさと母への反発から感情が不安定になっているパキス。
そんな彼女を大切に思っている幼馴染の少年の父も海で亡くなってしまいます。
そして、同時に父の遺品がもたらされてしまい、パキスにもようやく父の死を受け入れざるを得なくなってきました。
それにしても、海の上に家を建てる生活とは面白いですね。
私だったら地面が無いと絶対に眠れない気がするのですけど、彼らにとっては海の上の木の家が
当たり前の場所なのですよね。
家々は木の梯子みたいな通路で繋がっていて、近所中がひとつの建物のようです。
そんな中で暮らす彼らは、お互いを理解しあいながら生きているようでした。
そして、そんな暮らしはパキスの不安も希望もあっさりと受け入れて行くのだろうなと感じました。
現代でもこういう生活を続けているという驚きと、ここまで自然な姿のまま
ひとつの物語にした監督さんは凄いなと思いながら観ていました。
こういう映画祭ならではの作品も観てみると面白いなと感じた1本です。
監督:カミーラ・アンディニ 出演:ギタ・ノファリスタ アティカー・ハシホラン レザ・ラハディアン
2011年 インドネシア 原題:The Mirror Never Lies/Laut Bercermin
(20111023)
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公式サイトはこちらへ http://www.pioniwa.com/kagamimovie/追伸
この映画は東京国際映画祭で観ました。公開予定は2016年6月4日以降の予定です。