資料として残っていた1枚の写真をもとに創られた物語はとても過酷でした。
1930年代から終戦後までの間、日本軍、ロシア軍、そしてドイツ軍として戦った男たちの姿を描いた物語です。
軍人の家の子として生まれ、医者の父と共に韓国に移住してきた長谷川辰雄(オダギリジョー)と
長谷川家の使用人の息子キム・ジュンシク(チャン・ドンゴン)。
二人には同じ年頃で足が速いという共通点がありました。
お互いの実力を認め合う二人はマラソンランナーのライバルとして青春時代を過ごしてきましたが、
時代は次第に戦争へと向かっていきます。
その後、無理やり日本軍に徴兵されたジュンシクは中国北部でロシア軍と戦っている時に、
大佐となって軍を率いる辰雄と再会します。
辰雄の言動はかなり狂気に満ちています。
彼は死んでも退却するなと言い、死こそが名誉だと信じています。
でも、その狂信的な彼の勢いでも軍事力で圧倒するロシア軍には破れ果てます。
そして彼らは極寒のロシアで強制労働を課せられ、その挙句に兵士が不足してきたロシア軍に入れられます。
そのロシア軍で辰雄やジュンシクが見たのは戦争が狂わせた軍人の姿です。
辰雄はロシア軍の上官に過去の自分の姿を、ジュンシクはかけがえのない親友が銃弾の中へと
突き進んでいく姿を見ます。
軍事教育や戦争が起こした狂気にどれだけ自分たちが囚われているかを思い知った時、
彼らの心には生きて故郷へ帰ることしかありませんでした。
それにしても、戦争シーンはやっぱりハードでした~ 凄かったです(T_T)
また、戦争状態が人間にもたらす狂気には圧倒されました。
その狂気を体現していたオダギリジョーさんや山本太郎さんの演技は、うわーっという感じでした。
それくらい憎々しい役で、上手かったです^^;
それだけに、狂気が去った後の自然な姿の辰雄との落差には、改めて教育の歪みや戦争の怖さを感じました。
前半の日本軍のひどさは凄かったですけど、その後の展開を観てなるほどなと感じました。
この主人公たちのように、みんなが真実を見極めて変わっていけたらなと感じた1本です。
監督:カン・ジェギュ 出演:オダギリジョー チャン・ドンゴン ファン・ビンビン キム・イングォン キム・ヒウォン オ・テギョン キム・シフ チョン・ホジン 山本太郎 浜田学 佐野史郎 鶴見辰吾 夏八木勲
2011年 韓国 原題:MY WAY
(20120105)
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公式サイトはこちらへ http://myway-movie.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は1月14日以降の予定です。