2010年に帰還したはやぶさのプロジェクトを描いたヒューマンドラマです。
3社共同企画の中で昨年に公開された『
はやぶさ/HAYABUSA』はこの壮大なプロジェクト全体を
とても分かりやすく伝えてくれました。
『はやぶさ』が知識と宇宙の美しさ&厳しさを教えてくれる編だとしたら、
今回公開の『遥かなる帰還』は関わった全ての者たちの苦労のドラマ。
多くの人たちがどのようにはやぶさを動かしていったのか、細かな作業の積み重ねを丹念に描いていました。
1ビットずつ送信するってどんなに大変な作業だろうか考えてしまいました。
プロジェクト全体に責任を負いつつまとめ上げたプロジェクトマネージャーを主人公に描いた作品です。
はやぶさのプロジェクトは小惑星イトカワからのサンプル採集の危機から始まって、様々な危機に直面します。
その度にプロジェクトマネージャーの山口(渡辺謙)は問題を解決していきます。
そのクールな態度はみんなの苦労をさらりとかわしてしまうような雰囲気もあって、
チームから一目置かれると同時に敬遠されがちな面もありました。
でも、どんなに厳しい局面でもクールなままでいた山口も、
はやぶさからの通信が途絶えてしまった時は果てしない苦悩の中に迷い込みます。
スタッフを信じ、はやぶさを信じて待つしかありません。
そしてその時、観ている方も宇宙の広さと宇宙に関わることの難しさ、
はやぶさを支えて行く多くの人々の苦悩を一緒に体験していきました。
それにしても、20年の歳月をかけるというのは本当に地道な作業ですね。
また、今回は小さな町工場の社長(山崎努)も登場して、より幅広い人たちの手によって
このはやぶさが作られていたのだなということを実感しました。
宇宙へ行ってからも、例えばひとつの命令を送るのにどれほど手間がかかるのかということも分かって
よりこのプロジェクトの難しさを理解した気がしました。
また、『はやぶさ』では佐野史郎さん、西田敏行さんが演じていた役を
今作では渡辺謙さんと藤竜也さんが演じていて、そういうところも面白かったです。
主人公が、自分のような職業の人が関われるプロジェクトは一生のうち3つくらいと言っていました。
改めて、長いスパンのプロジェクトの大変さをしみじみと感じた1本です。
監督:瀧本智行 出演:渡辺謙 江口洋介 藤竜也 吉岡秀隆 夏川結衣 山崎努 ピエール瀧 嶋田久作 小澤征悦 中村ゆり
2011年 日本
(20120213)
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公式サイトはこちらへ http://www.hayabusa2012.jp/index.html