圧倒的な映像と展開に、何の言葉も出ませんでした。
地球の何十倍の大きさを持つ天体が地球に衝突するまでを描いた作品です。
出だしは予告編で観たクラシック音楽と芸術的な映像が次々と流れていきます。
終末のイメージを連想させるその映像に圧倒されながらも、このままだったら眠ってしまいそうと
思っていたら、物語はとあるカップルの結婚の一夜へと移っていきます。
ジャスティン(キルステン・ダンスト)とマイケル(アレキサンダー・スカルスガルド)は
結婚式を挙げたばかりの幸せなカップルです。
ジャスティンの姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)とその夫ジョン(キーファー・サザーランド)の待つ
披露宴へ向かういめに、リムジンで移動しています。
でも、彼らの豪邸がある田舎道を走るにはリムジンは大き過ぎて立ち往生し、2時間も遅刻してしまいます。
ようやくたどり着いた二人を迎えたのは困り顔のクレアと怒りを抑えているジョンでした。
それでも、何とか披露宴は始まりましたが、次第にジャスティンの様子がおかしくなっていきます。
ふらりと外へ出ては奇妙な行動を取ったり、部屋にこもってお風呂に入ってしまったり。
ケーキカットのためにみんなが待っていても無頓着です。
彼女は身体が重くて自由に動けないと感じている反面、愛しているはずの夫の愛を受け入れられず、
その行動は暴走していきます。新郎も彼女が理解できなくなってきます。
そして、彼女は言いようの無い不安に心が支配され始めていました。
それにしても、いろいろな感じ方が出来そうな物語でした。
全体を覆っているのは不安です。それは未来の見えない予感なのかも知れません。
ジャスティンの奇妙な行動は理解できるとは言えないのですけど、観ているうちに
彼女が破滅をもたらす天体“メランコリア”の巫女のような存在に感じてきました。
そして、彼女が全てを悟って死を迎える覚悟をした時、
地球の運命は変えられないものになってしまいました(T_T)
映像が印象的で美しかった分、その破滅には圧倒されました。
観終った時、どんなに荒れた心も静かにさせるようなパワーがあったなと感じた1本です。
監督:ラース・フォン・トリアー 出演:キルステン・ダンスト シャルロット・ゲンズブール アレキサンダー・スカルスガルド ブラディ・コーベット キャメロン・スパー シャーロット・ランプリング ジョン・ハート ステラン・スカルスガルド
2011年 デンマーク/スウェーデン/フランス/ドイツ 原題:MELANCHOLIA
(20120217)
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公式サイトはこちらへ http://melancholia.jp/