2009年に亡くなった舞踊家&振付家ピナ・バウシュが創り上げた芸術的なダンスを映像化した作品です。
予告編を観て、うわー凄い迫力だなあと圧倒されていました。
彼女が育てたヴッパタール舞踊団による3つの舞台と郊外へ出た自由なダンスの融合に魅せられました。
激しい感情の全てがダンスで表現されていました。
ピナ・バウシュの教え子たちによるダンスの数々を3Dで映し出した作品です。
出だしはカメラが舞台の客席にあります。
なので、映画を観ている観客も映画ではなくて舞台そのものを見ているような感覚になります。
舞台に土が敷き詰められると、一人のダンサーが赤い布の上に横たわり独特の重い動きを始めると、
いつの間にかダンサーが増えていきます。
やがて集団になり、女性たちと男性たちに別れて独特なダンスを披露しながら動いていきます。
その異様なダンスと雰囲気に一気に飲み込まれてしまいました。
所々でピナの生前の映像や教え子たちのインタビューが流れます。
彼女は若いダンサーたちに、自分で考えて激しい感情を表現するようにと指導していたようです。
絶え間なく動き、決められた形ではなくて自由な発想から生まれた動きは、
これまで見てきたようなダンスとは違っています。
でも、そんな様々な動きが表すものは心の叫びそのもののように激しかったです。
また時々、そんな動きの連続がダンスになるのですかと思わず笑ってしまうようなものもあって楽しかったです。
それにしても、もの凄いエネルギーを感じました。
日常を普通に過ごしているような自分にとってはほとんど異次元の世界のようです。
引き締まった無駄が全くない肉体とその動きを観ているだけで圧倒されます。
土や水が使われるシーンも多く、表されている感情が人間の根源にあるものだと伝えてくれるようでした。
全体的に理解できたかと言われたら、何となくという感じだったのですけど、
このダンスはきっと観ている者の心境も映し出すもので、
その時によって受け取るものが違うだろうなと思いました。
また、いつかとても観てみたくなる時があるだろうなと感じた1本です。
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:ピナ・バウシュ
2011年 ドイツ/フランス/イギリス 原題:PINA
(20120304)
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公式サイトはこちらへ http://pina.gaga.ne.jp/