彼女は決して自分の心を捨てようとはしませんでした。
スーザン・コリンズ著のベストセラーを原作に描いた作品です。
スノー大統領(ドナルド・サザーランド)が独裁的に支配している国家パネムでは、
富裕層の住む首都が12の地方地区を従えるように治めています。
12の地区ではそれぞれ第一次産業から第二次産業までを担い、
その地域に暮らす人々は食事にも事欠くような貧しい生活に耐えていました。
実は12の地区では反乱が起きて政府軍に鎮圧されたという過去があり、その戒めとして年に1度、
それぞれの地区から12~18歳までの男女1名ずつが強制的に“ハンガーゲーム”に参加させられています。
その“ハンガーゲーム”とは最後の一人になるまで殺し合わなければならないゲームで、
国民は中継を見ることを義務付けられ、12の地区の人々にとっては辛い記憶を呼び起こすものとして
富裕層にとっては賭けの対象となる娯楽として楽しむお祭りになっていました。
炭鉱の地区12区で暮らすカットニス・エバディーン(ジェニファー・ローレンス)は、
炭鉱の事故で父を亡くした後、気が弱っている母と幼い妹を支えながら生きて来ました。
12歳の妹は初めてのゲーム参加対象者になり、参加者抽選の日が近付くにつれて
自分が選ばれる悪夢を見ては泣いていました。
カットニスはそんな妹をいつも慰めていましたが、抽選会の日、その悪夢が現実となってしまいます。
その時、思わず彼女は妹に駆け寄ると、妹を庇いながら自分を代わりにと必死に叫び、
志願者として死のゲームへ向かうことになりました(>_<)
それにしても、ジェニファー・ローレンスの存在感は不思議ですね。
出だしの風景や設定から『
ウィンターズ・ボーン』の主人公のようだと思っていたのですけど、
本当に彼女はこういう役が似合う女優さんです。
心の強さと温かさ、そして冷静さを併せ持ちながら、隠しようの無い不安な気持ちと戦っているカットニス。
妹との約束を支えに必死に生きようと走るその姿は、ジェニファーでありながらカットニスそのものでした。
そして、サバイバルゲームの中でも、最後まで自分を見失わずにいようとする主人公の姿に
いつしかドキドキしながらも真剣にスクリーンを見つめていました。
カットニスが独りではなく、彼女の優しさを知った人々に関わっていく展開がいいです。
そして、サバイバルの中でも人や自分の心を大切にする気持ちを忘れなかった彼女だからこその選択が
彼女の未来を動かしていったというところも良かったです。
観終った時、彼女の愛の深さと強さが物語全体を包んでいたような気がした1本です。
監督:ゲイリー・ロス 出演: ジェニファー・ローレンス ジョシュ・ハッチャーソン リアム・ヘムズワース ウディ・ハレルソン エリザベス・バンクス レニー・クラヴィッツ スタンリー・トゥッチ ドナルド・サザーランド
2012年 アメリカ 原題:THE HUNGER GAMES
(20120627)
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公式サイトはこちらへ http://www.hungergames.jp/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は9月28日以降の予定です。