心を病んだ一人の少女がユングの下で治療を開始するところから始まる物語です。
統合失調症でロシアからスイスへと送られてきた少女ザビーナ・シュピールライン(キーラ・ナイトレイ)は
病院へ近付く馬車の中で、すでに暴れていました。
一人の手では押さえられず、馬車を降りる時は何人もの看護師に運ばれるような状況です。
でも、裕福な家庭に生まれたザビーナは高い教養を持っていたため、
担当になった若き精神科医ユング(マイケル・ファスベンダー)は
フロイト(ヴィゴ・モーテンセン)の提唱する談話療法によって彼女を治療しようと試みます。
しばらくして、ユングはフロイトのいるウィーンを訪ねて、すぐに意気投合します。
お互いに話が止まらなくて、初めて会った時に13時間も話し続けてしまうほどです。
特にフロイトの持つパワーに魅せられたユングは、フロイトに魅了されながら時を過ごします。
そして、フロイトも自分の後継者が出来たと喜びます。
でも、ユングは帰宅して振り返ると、相手を圧倒するフロイトのパワーに不安も感じました。
また、治療によってザビーナの心に深く近づいたユングは、彼女と強い絆を結ぶようになります。
彼女の肉体的な求めに応じてしまうのです。
その絆は麻薬のように彼を虜にしていきます。
でも、彼を愛する妻エマ(サラ・ガドン)は、彼の行為を許せずに手紙によって噂を広めてしまいます。
それは、とうとうフロイトの耳にも入って来ました。
それにしても、キーラ・ナイトレイの演技は凄いですね~
本人が出演に悩んだというのも納得です。
ここまで自分を壊して役になりきるのは大変だろうなあと感じながら観ていました。
そして、どんな状況でも損なうことの無い彼女の美しさが、作品に説得力を与えているように感じました。
また、彼女と共にキーパーソンになっているマイケル・ファスベンダーとヴィゴ・モーテンセンの
ユング&フロイト対決も印象的でした。
ユングの超心理学が決裂の原因になっているのですけど、
我が道を行くような感じのフロイトの強さと、患者に寄り添おうとするユングの繊細さは
もともと相容れないものなのかも知れませんね。
難しいことは分からないのですけど、そんな印象を受けました(^^ゞ
観終った時、前を歩いていた年配女性の二人組が、精神分析って難しいわとおっしゃっていました。
思わず、私もパンフレットを買って読み返してみなくてはと思った1本です。
監督:デヴィッド・クローネンバーグ 出演:キーラ・ナイトレイ マイケル・ファスベンダー ヴィゴ・モーテンセン サラ・ガドン ヴァンサン・カッセル
2011年 イギリス/ドイツ/カナダ/スイス 原題:A DANGEROUS METHOD
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公式サイトはこちらへ http://dangerousmethod-movie.com/