久保寺健彦著の同名小説を中村義洋監督&濱田岳主演で映画化した青春ドラマです。
原作は未読ですけど、この監督・主演のコンビなら面白いだろうなあと気になっていました。
団地で暮らすことを選んだ一人の少年の姿を人々との関わりを通して丹念に映し出されていました。
諦めずに進もうとする勇気を応援したくなりました。
12歳の時に団地の中だけで生きて行くと宣言した男の子の物語です。
昭和43年生まれで12歳の渡会悟(濱田岳)は中学校へ通っていません。
団地の中だけで生きて行くと決心したからです。
中学校の先生が家庭訪問に来てもどこ吹く風。
だって、この大きな団地にはアーケード街があって食料品や日用品が揃う他、
レコード店や本屋もあって暮らしには不自由しないのです。
もちろん、就職はその中のケーキ屋にすると決めていました。
彼は毎日、きちんと生活しています。
早朝の乾布摩擦から始まり、ラジオで英語の勉強をしたり、朝ごはんの後片付けをしたり。
読書やランニングや筋トレなどの体力作りも毎日の日課です。
そして、欠かせないのが夜の団地の見回りです。
それはすべて、団地の安全を守るために必要なことです。
でも、1年2年と時が過ぎるにつれて同級生たちは去り、団地の住民たちも変わって行きました。
それにしても、さすがは中村監督と濱田岳さんですね。
こんなに変わっているシチュエーションなのに、こういう主人公が本当に居そうな気がします。
それは、なぜ彼が団地の中に引きこもることになったのかという理由にもあります。
誰が何と言おうと、団地の中で暮らすことは彼にとっては必然だったのです。
それでも、心身ともに鍛えることで、彼は何とかその事態を乗り越えようとしています。
長い時間をかけて前へ進もうとしたその姿には胸が熱くなりました。
主人公の存在感を本当にリアルに感じさせてくれる濱田さんの演技に魅せられました。
観終わった時、今年最初の映画が楽しめる作品で良かったと感じた1本です。
監督:中村義洋 出演:濱田岳 倉科カナ 永山絢斗 波瑠 田中圭 ベンガル 大塚寧々
2012年 日本
(20130110)
→
公式サイトはこちらへ http://minasan-movie.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は1月26日以降の予定です。