“イチ”の演技はすごかったです~
保健所で働く神崎彰司(堺雅人)は今日も上司・桜井(小林稔侍)に叱られていました。
彰司の職場ではローテーションで収容施設の担当になっているのですけど、彼の担当の時だけ
動物の食費が跳ね上がっているのです。
規則では動物たちが収容されてから処分されるまで7日間です。
でも、一匹でも命を助けたいと願う彰司は、貰い手の付きそうな犬の期間を延長してしまうのです。
規則と経費削減が命の上司には言語道断の行為です。彰司は上司の注意を受ける常連でした。
彰司には小学生の子供が二人います。母・千夏(檀れい)を事故で亡くしてからは
口の達者な母(吉行和子)に家事を手伝ってもらって暮らしていました。
子供達も犬が大好きで、父が持ってくる里親探しのチラシを手に、同級生に声をかけてくれます。
でも、そんな彰司の努力もむなしく、処分の日がやって来る犬たちはいます。
彼は好きなソーセージを犬に分け与えながら別れを惜しんだ後、処理のボタンを押しました。
そんな日々を送っていたある日、畑を荒らす野良犬がいるという連絡を受け、新人の佐々木(若林正恭)や
ベテランの安岡(でんでん)と一緒に捕獲しに出ました。
犬は彼らの姿を見ると、陽動するように山奥へと逃げていきます。
周辺を注意深く観察すると、小さなくぼみには産まれたての子犬が3匹かたまっていました。
その犬は子供を産んだばかりの母犬だったのです。
そして、母犬は人間を威嚇するように歯をむき出して、子供達を守ろうとしました。
それにしても、真摯さを感じる物語でした。
収容施設の現状をはじめ、職員たちの作業の一つ一つが丁寧に映し出されています。
毎日餌をあげ、床の掃除をし、大丈夫だと声をかける日々。
でも、処分のボタンを押す日はすぐにやってきてしまうのです。
その哀しい姿には胸が締め付けられました。
そして、そんな動物たちと懸命に向き合おうとする主人公の姿には涙でした。
彰司と家族とのエピソードも考えさせられました。
特に父親の仕事が犬を助けるだけでなく殺すこともあるという事実を知った時の
長女・里美(近藤里沙)の様子は、反抗的な態度も含めて分かるなあと思いました。
それでも、父の動物を大切にしたいという心を感じていくところは、やっぱり親子だなと感じました。
この里美役の近藤里沙ちゃんの演技にも泣かされてしまいました(^^ゞ
クライマックスの堺雅人さんと母犬役のイチとの名演技にも思いっきり泣かされました(T_T)
この奇跡が本当にあったのだなあと思うと感無量でした。
観終った時、このイチはどうやって演技指導したのですか~と聞きたくなった1本です。
監督:平松恵美子 出演:堺雅人 中谷美紀 でんでん 若林正恭 吉行和子 近藤里沙 藤本哉汰 檀れい 草村礼子 左時枝 小林稔侍 夏八木勲
2013年 日本
(20130206)
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公式サイトはこちらへ http://www.himawari-koinu.jp/index.html追伸
この映画は試写会で観ました。公開は3月16日以降の予定です。(宮崎先行上映予定あり)