無農薬リンゴがどれほど大変なものなのかを実感させられました。
三上秋則(阿部サダヲ)は子供の頃から謎の解明を追い求めていました。
機械がなぜ動くのか知りたい時は、それを丹念に分解してしまいます。
ある時はテレビ、またある時は友達のバイクなど、成長するに合わせて分解するものも変化していきます。
そして、分解して改造するたびに騒ぎを起こしては父(伊武雅刀)に叱られてしまいます。
でも、そんな秋則を母(原田美枝子)は温かく見守ってくれました。
秋則の育った青森の実家はリンゴ農家ですが、秋則は農業へ進みたいとは思いませんでした。
父の反対を押し切って東京で就職した秋則は家電企業に入り、自分の適正に合った仕事に就きました。
でも突然、彼は実家へ呼び戻されます。
暴風雨により青森県のリンゴが壊滅的な被害を受けてしまったのです。
被害を前に両親や兄の苦労する姿を見て、ますます秋則は農業へ進みたくないと思うようになっていた彼に
見合いの話が舞い込んで来ました。
しかも、次男坊の彼に、リンゴ農家の跡取りとして婿に来て欲しいというのです。
でも、見合い当日に逃げ出していた秋則が無理やり連れて来られた見合いの席にいたのは
学生の頃から笑顔が可愛いなと惹かれていた木村美栄子(菅野美穂)でした。
そして、彼女の明るい存在感は、秋則の東京への憧れを打ち砕くほど大きなものになっていきました。
それにしても、本当に大変な日々でした(T_T)
誰もが無理だと笑うのも納得なほど難しい無農薬リンゴを成し遂げるのに11年もかかりました。
虫にも病気にも弱いデリケートなリンゴを育てるために、
農薬の代わりになるものを必死に探して実験を重ねる日々です。
そんな中、失敗の連続で収入は無くなり、出稼ぎに出ても親父狩りの不良に稼ぎを盗られ、
電気も止められて、とうとう村人からはのけ者にされていきます。
やがて、成功を夢見て頑張っていた秋則の心も壊れて荒んでしまいます。
正直、観ているのが辛いなあと思いながらスクリーンを見つめていました(T_T)
でも、家族の支えはとても強かったです。
彼の一番の理解者である妻はもちろん、義父(山崎努)の心から信頼できる存在感も頼もしかったです。
そして、最も挫けそうになった時に諦めないように強く言い放った娘・雛子ちゃん(畠山紬)の
力のこもった言葉には、そうだよなあとうなずいてしまいました(^^ゞ
結末も分かっている話ですけど、物語と主人公たちの演技にやっぱり泣かされてしまいました。
観終った時、リンゴの花の美しさが心に沁みた1本です。
監督:中村義洋 出演:阿部サダヲ 菅野美穂 池内博之 笹野高史 伊武雅刀 原田美枝子 山崎努 畠山紬 渡邉空美 小泉颯野
2013年 日本
(20130527)
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公式サイトはこちらへ http://www.kisekinoringo.com/追伸
この映画は試写会で観ました。公開は6月8日以降の予定です。