この時代に自分に素直に生きるということの厳しさを感じました。
一人の女性の穏やかな生活が壊れていく予感から始まる物語です。
東京に住む相澤知子(満島ひかり)は長年、作家の小杉慎吾(小林薫)の愛人になっていました。
慎吾は家族にも知子との生活の時間を認めさせ、慎吾は鎌倉の自宅と知子の家を
数日ごとに行き来しています。
でも、知子はそんな彼との落ち着いた優しい生活に不満はありませんでした。
そんなある日、彼女の外出中に木下涼太(綾野剛)が訪ねて来ます。
涼太は彼女と同郷で、仕事を求めて上京してきたところでした。
また、もう何年も会っていませんでしたけど、かつては激しい恋に落ちた恋人同士でもありました。
その日は知子が不在だったために涼太はすぐに帰り、対応に出た慎吾も余裕の態度で
彼女にその時の様子を笑いながら話したりしていました。
でも、年の瀬も迫った日の慎吾が鎌倉へ帰る日に、知子は風邪で熱を出してしまいます。
彼女は心細くなっていましたけど、慎吾は彼女の手を離し予定通りに鎌倉へ帰宅してしまいました。
その態度に今までは心の底に隠れていた怒りや不満の感情が湧き上がり始めました。
それは熱が下がっても変わりません。
そして、正月開けに涼太から新年の挨拶の電話が来た時、彼女は彼を自宅へ呼んでしまいました。
それにしても、自分に正直でいるということは難しいですね。
知子は時には愛する者を捨てても前へ進もうとします。
どうにも止められない気持ちに動かされていくのです。
それは周りの人の心も傷付けていくことでもありました。
でも、彼女は全てを捨てて恋に生き、自分の夢を求めて東京へ向かい、挫折を乗り越えて不倫し、
やがては、自分の心を縛るものから解放されようとします。
その生き方は、本当に自分の心を素直に見つめないと出来ないだろうなと思いました。
そして、安定を壊しても自分を持ち続けていく強さは、ちょっとカッコいいなあと感じました・
3人の演技もキャラクターに似合っていて見ごたえがありました。
観終った時、本当に夏の終わりを感じられる作品だなあとしみじみ思った1本です。
監督:熊切和嘉 出演:満島ひかり 綾野剛 小林薫
2012年 日本
(20130831)
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公式サイトはこちらへ http://natsu-owari.com/追伸
舞台挨拶は上映前の短い時間でしたけど楽しかったです。
満島ひかりさんは着物姿が素敵でした。映画を観てもらうのが恥ずかしいと言っていましたけど、
とても存在感があって良かったです。
綾野剛さんは夏が苦手と言っていたのが印象的でした。春・秋・秋・冬パターンは納得です。
小林薫さんは今日のために服を買いに行ったけど、もう夏物は無くて…とちょっと笑いをとっていました。
季節を先取りと言っていたネルの生地は、今日は暑そうですけど着やすくていいですよね(^^ゞ