高畑勲監督が『竹取物語』をもとに8年の時間を掛けて創り上げたアニメです。
あの御伽噺がどんな長編映画になるのだろうと気になっていました。
水彩画のような独特の絵の迫力と生きることへの強烈な想いに圧倒されるような作品でした。
翁(地井武男)が裏の竹林で輝く光を見つけるところから始まる物語です。
竹細工用の竹を取りに来た翁が光に目を留めると、そこから筍が生え始めました。
まだ、梅の花も咲いていない季節なのに何故?と訝しがりながらも筍を取ると、
そこには小さなお姫さまが鎮座していました。
なんと可愛い姫だろうとうっとりした翁は、そっと手に包んで持ち帰ります。
家で姫を見せられた媼(宮本信子)が、なかなか離そうとしない翁から奪うように姫を持つと
その瞬間から姫がどんどん変化して、普通の赤ん坊になってしまいます。
そして、まるで赤ん坊は筍のようにどんどんと成長していきました。
それにしても、竹取物語がこんなパワーを持つ作品になるとはビックリでした~
スクリーン全体から、生命への強い想いが伝わってくるようです。
幸せに生きることは何か。翁にとっては高貴な姫として貴族と結婚させることが姫の幸せでしたけど、
彼女にとっての幸せは、そんな結婚ではありませんでした。
森の生き物たちに囲まれた生活こそが、生きる幸せだったのです。
でも、彼女はその美しさゆえに評判になり、貴族たちの目に留まっていきます。
なんと5人もの貴族が執拗に結婚を迫ったのです。
そんな彼らの申し出を断るために言った姫の言葉は、彼らを不幸に落としてしまいます。
そして、ついに帝が姫の獲得に乗り出した時、彼女の嘆きは運命を動かしてしまいました(T_T)
水彩画のようなアニメの絵は見慣れないものでしたけど、
観ているうちに本当に姫が美しく見えてきて面白かったです。
喜びも悲しみもその表情を強烈な印象と共に映し出していました。
観終った時、これでは姫は月に帰りたくなかったろうなあと納得した1本です。
監督:高畑勲 出演:朝倉あき 高良健吾 地井武男 宮本信子 高畑淳子 田畑智子 立川志の輔 上川隆也 伊集院光 宇崎竜童 古城環 中村七之助 橋爪功 朝丘雪路 仲代達矢
2013年 日本
(20131123)
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公式サイトはこちらへ http://kaguyahime-monogatari.jp/脄