幼い少女・みなみとその美しい母親・夏美(麻生久美子)が、カフェのテラスで
ニシノユキヒコ(竹野内豊)と最後の団欒をとるシーンから始まる物語です。
ニシノが店員にオーダーをすると、夏美とニシノは和やかにおしゃべりが始まります。
でも、会話には今日で終わりねという言葉が登場します。
不倫をしていた二人は今日でお別れをすることに決めていたのでした。
時は流れてシーンは変わり、ニシノが雑踏の中で買い物している姿を彼の知人が見つけます。
その知人がニシノを呼び止めようと彼を追い始めますが、呼びかけても声は届きません。
また、荷物を持って松葉杖をついていた彼女は、なかなか追いつくことも出来ません。
ニシノが道路を渡ったところで自分の名前を呼ぶ声に気付いた時、彼女はバランスを崩して倒れます。
思わずニシノが彼女を助けようと道路へ飛び出した時、トラックが目前に近付いていました。
またシーンは変わり、中学生の少女が学校から帰宅してきました。
誰も居ない家へ入った彼女は、お味噌汁を温めて大きなおにぎりを食べ始めます。
そのおにぎりの大きさはかなりのものです。
でも、中身が入っていない塩むすびだと気付いた彼女は、半分を愛犬にあげて食事を終えます。
そして、庭の水撒きを始めると、どこからとも無く歌が聴こえてきます。
それは幽霊となったニシノが歌っていたものが、彼女と愛犬だけに聴こえていたのでした。
それにしても、不思議な物語でした。
基本はニシノユキヒコの恋の遍歴です。
彼は女性にとってはとても気の利く男で、その女性が自分のことをどう思っているか、
彼女が何を望んでいるかが手に取るように分かります。
そんな彼はあっという間に関わった女性の心を掴んでしまいます。
でも、自分の恋にはかなり不器用なようです。
好きな上司・マナミ(尾野真千子)に何とか近付くことができたと思ったら、
昔の彼女・カノコ(本田翼)に振り回されてしまうし、プロポーズしたマナミにも振られてしまうし…
好かれて両想いになっても、最後に振られるのも彼なのです。
こんなにカッコ良くて居心地も良い男なのに、何だか気の毒だなあと思ってしまいました。
そして、そんな彼に関わった女性は、きっとみんな幸せな想い出を作ったのだろうなと感じました。
観終った時、登場した女優さんたちの美しさが印象に残ると共に、
ニシノユキヒコに扮した竹野内豊さんはカッコいいなあとしみじみと思った1本です。
監督:井口奈己 出演:竹野内豊 尾野真千子 成海璃子 木村文乃 本田翼 麻生久美子 阿川佐和子 中村ゆりか
2013年 日本
(20140211)
→
公式サイトはこちらへ http://nishinoyukihiko.com/