これが今の沖縄なのかと驚くと共に、様々な怖さにぞっとしました。
沖縄北部の高江は緑豊かな自然が美しい地域です。
でも、そこでは米軍ヘリの新しい施設・ヘリパッドが増設されようとしていました。
沖縄全体では基地を移転させようと盛り上がっていましたけど、ここでは増設されるのです。
しかも、その新しいヘリパッドには、墜落事故が話題になっているオスプレイが来るだろうと予測されました。
自宅から300mのところにオスプレイが行き来するようになると、安心して暮らせなくなります。
しかも、昼夜関係なく行われるヘリ飛行の騒音は大変なものです。
当然、地域の人はヘリパッド工事の反対を訴えました。
でも結局、ヘリパッド工事は始まりつつあります。
しかも、その際に座り込みで反対をした人に対して、国が裁判を起こします。
その最初の対象リストには、現場に行ったことも無い8歳の女の子の名も
載っていたというのには誰もが驚きます。
そして、最終的に訴えられた人に対しての裁判が進められている中、
次第にオスプレイに反対する気運が沖縄全体で高まって来ました。
それにしても、理不尽さを感じる現実ですよね(T_T) 色々なことを考えさせられました。
まずはタイトルの“標的の村”。
これは何か目印になるものを仮の標的にした訓練の際に、高江の家や住民たちが
その擬似標的にされているだろうということから来ています。
何故、人が住む地域のこんな傍にヘリパッドを作るのかという疑問も、こういうことかと思いました。
また、これだけの事実が情報として伝わってこないという現実が怖かったです。
監督さんもスピーチで、いくらテレビ番組を作ってもローカルで流れるだけで
そこから情報は広がらないので映画にしたと言っていました。
これだけ情報が氾濫している時代でも、重要なことが伝わらないって多いと改めて感じました。
途中、抗議のために座り込みをした人々を止めさせるための攻防を撮影していたジャーナリストが
人々と一緒に排除されたシーンにも、こういうことこそ知る権利なのになあと思ってしまいました(-_-;)
観終った時、知ることや関心を持つこと、忘れないことがどれほど大切なことかを思うと同時に、
映画というものの力の強さを感じた1本です。
監督:三上智恵
2013年 日本
(20140208)
→
公式サイトはこちらへ http://www.hyoteki.com/