善意と優しさに溢れているような物語でした。
栗原一止(櫻井翔)の孤独な夢から始まる物語です。
妻・榛名(宮崎あおい)と美しい風景を見ていた一止は、いつの間にか雪に中で一人になっていました。
妻は呼んでもどこにも姿が見えません。
そして、必死に大声で妻の名を呼んでいると、電話の呼び出し音で目が覚めます。
現実の一止は24時間365日稼動している本庄病院の夜勤の休憩中でした(-_-;)
そんな多忙の中、明るいニュースが入って来ました。
一止の大学の同級生で親友の進藤辰也(藤原竜也)が本庄病院に赴任してくることが決まったのです。
彼の知る進藤はとても真面目で腕の良い医師で、信頼の置ける人間でした。
でも、進藤が赴任してくると、間も無く看護師たちの間で悪い評判が流れ始めます。
定時になるとすぐに帰ってしまう。夜に緊急の電話を入れても電話に出てくれないなど、
主治医としての役割を担っていないというのです。
学生時代の進藤をよく知っている一止はその噂を信じませんけど、看護師が患者の対応をお願いしても
定時で帰宅しようとする彼の姿を見て、思わず怒りをぶつけてしまいます。
でも、そんな一止に対して消化器内科部長の貫田(柄本明)は、定時に帰宅するのは当たり前のことなのに
一止は厳しいなあと笑っていました。
それにしても、厳しい現実ですね(T_T)
24時間365日稼動の病院を回していくには、もう働く人たちの強い意志と善意に頼るしかありません。
一止は1年に3日しか休日が取れず、たまの休みでもすぐに呼び出しの電話がかかってきます。
そんな状態でも、患者の命には代えられないという想いで対応していくのです。
でも、それでは職場以外の時間が無くなってしまいます。家庭など皆無に等しいです。
そんな環境で働く医師にとって、仕事よりも家庭を取ることはとても難しいです。
厳しい選択を迫られるような現状を描きながら、医者は家庭を犠牲にして働くことが当然なのか、
それで人生いいのだろうかという問いかけが観ている者へ投げかけられていきました。
そして、何と言っても役者たちの表情に魅せられました。
寂しそうな笑顔、真剣なまなざしを向ける強張った表情、そして、愛する人を安心させる笑顔。
どの表情も繊細に映し出されていて、台詞が無い人でも心が伝わってくる気がしました。
中でも柄本明さんの演技には泣かされてしまいました(T_T)
志が高くても、実際には経営的にも人手的にも苦し過ぎる現実に胸が痛みました。
観終った時、それでも貫田先生の遺志を継ぐと言った一止たちって本当に希望だなあと感じた1本です。
監督:深川栄洋 出演:櫻井翔 宮崎あおい 藤原竜也 濱田岳 原田泰造 吉瀬美智子 朝倉あき 吹石一恵 要潤 西岡徳馬 池脇千鶴 市毛良枝 柄本明
2014年 日本
(20140330)
→
公式サイトはこちらへ http://www.kamisamanokarute-movie.jp/index.html