大岡昇平著の同名小説を塚本晋也監督が主演も務めながら創り上げた戦争映画です。
この映画は通常ではきっと怖すぎて観られないけれど、フィルメックスならとチャレンジしてみました。
第2次世界大戦末期のフィリピンで日本軍兵士たちの体験した戦場は、まさに地獄でした(T_T)
とてもとてもリアルに感じました。
舞台は密林の中で、戦うすべを無くしたフィリピン戦線にいる兵士たちの状況が映し出されています。
そんな中、結核を患った主人公は兵隊としては役に立たず、病院に入院するには軽すぎると
本隊からも病院からも追い出されます。
そして、言ったり来たりしている間に、どちらも敵の攻撃で全滅してしまいました。
そして、彼は一人、密林の中へと歩き始めました(-_-;)
それにしても、過酷な物語でした~
「野火」は監督さんのライフワークみたいな作品だそうです。
原作と出会ったのは高校生の頃。
映画監督になって30代で作りたいと思い始め、資金集めや色々計画しているうちに10年が過ぎ、
映画のために南方へ戦争に行った当事を知る人へインタビューを始めたらみんな80才代。
でも、やっぱり資金が集まらずに10年が過ぎ、当事者が90代になってしまってマズイと思った監督さんは
お金の無いまま映画制作を始めたそうです。
そんな監督さんの想いのこもった作品は、観る者を何の説明もなく末期の戦争へと放り込んでいきます。
穏やかで物書いたり読んだりして暮らしてきたと自己紹介する主人公と共に歩んでいく緑の世界は、
死と隣り合わせなどという言葉も生易しく感じるほどの事態です。
当時、死の病とされた結核でさえも病院には受け入れて貰えないのです。
でも、さらに物語が進むにつれて、病院のことも考えられないほどの状況に陥ってきます。
そんな中で主人公の観たものは地獄というしか無い世界でした。
主人公が生きるためにどんな道を歩んで、どんな行動を取ったのかを見せ付けられて
改めて戦争の恐ろしさを実感しました。
どんな大義名分があっても、やっぱり戦争は当事者たちを不幸にするとしみじみと思った1本です。
監督:塚本晋也 出演:塚本晋也 リリー・フランキー 中村達也 森優作
2014年 日本
(20141122)
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公式サイトはこちらへ http://nobi-movie.com/追伸
この映画は第15回東京フィルメックスで観ました。公開は2015年7月25日以降の予定です。