本当にジャックはいい子でした(T_T)
兄弟が一緒に眠っている朝から始まる物語です。
朝、目覚めたジャック(イヴォ・ピッツカー)は幼いマヌエル(ゲオルグ・アームズ)の面倒を見ながら
小学校へ行くために急いで朝の仕度を始めました。
母(ルイーズ・ヘイヤー)はいつも仕事と恋に忙しくて、家に居るのか居ないのか判らない状態です。
でも、ジャックにとってはそれが日常でした。
家に居る時の母はとても優しく愛情深い笑顔で兄弟を可愛がってくれます。
ジャックが夜中に母が男と遊ぶ音で目が覚めた時、二人の居る部屋に入ってお腹が空いたと訴えると
母は裸のまま男を置いてジャックを台所のテーブルへ導きます。
そして、ジャックにパンを渡した後、テーブルで頬杖をついて「焼きもち?」と楽しそうに笑います。
その笑顔は無邪気な愛情でいっぱいでした。
でも、母の居ない時、弟マヌエルがバスルームで火傷を負ってしまいます。
そのことから保護者として不適切と判断された彼女は、長男を児童養護施設送りが決定されてしまいます。
最後に書類にサインをする際には抵抗をみせる母でしたけど、
結局、ジャックは夏休みには帰れるからと慰められて、施設へ入ることになってしまいました。
それにしても、ジャックがあまりにもいい子だけに、遣る瀬無い想いでいっぱいになりました。
話は違いますけど、私の席の隣に老夫婦が座っていて、おじいさんの方が気持ちが声に出てしまう人でした(笑)
小さなつぶやきなので別に気にならなかったのですけど、出だしの兄弟が気持ち良く眠っているシーンで
「裸で寝るのか」という声が聞こえた時は笑いそうになってしまいました。
そんなおじいさんがジャックの行動を観るたびに「偉いなあ」とつぶやいていました。
10歳のジャックは本当にいい子なのです。
この母親だから、いい子にならざるを得なかったのかも知れませんけれど、
この母親だからこそ、愛情を受けることや与える気持ちを失わずにいたのかも知れません。
それだけに、大人でも難しいようなジャックの最後の決断には、心を動かされました。
そして、いつかこの母親も大人になってくれないかなあと願ってしまいました。
観終った時、将来、大人になったジャックの隣にも素敵な家族がいてくれますようにと願った1本です。
監督:エドワード・ベルガー 出演:イヴォ・ピッツカー ゲオルグ・アームズ ルイーズ・ヘイヤー ヴィンセント・レデツキ
2014年 ドイツ 原題:JACK
(20150920)
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