橋本紡の同名小説を波瑠主演で映画化したヒューマンドラマです。
原作は未読ですけど、このキャストで描かれる物語はどんな作品になるだろうと気になっていました。
恋人の死の痛みを抱えながらも、これからの人生を見つめようとする主人公の姿を映し出していました。
ゆっくりと物語に入ってほっとした気持ちになれる優しい作品でした。
ある朝の奈緒子(波瑠)の様子から始まる物語です。
奈緒子は吉祥寺の家に一人暮らしをしている大学生。
高校の頃に家族が父の転勤に伴って九州へ行ってから、ずっと一人で暮らしていました。
彼女には玄関で眠る習慣があります。
高校の頃からの恋人・加地(葉山奨之)は高校卒業後に大学進学をせず、世界中を旅行していました。
その海外旅行中に交通事故で亡くなってしまったのです。
しかも、亡くなった時に若い日本人女性と旅をしていました。
ニュースでは恋人たちの死と報道され、二人の仲を知る人たちは心無い噂話をしました。
それからというもの、恋人を思い出させる自分の部屋では眠れなくなってしまいました。
玄関で朝を迎える日を過ごしていたある冬の日、突然に父(小市慢太郎)が九州からやってきました。
家出をしてきたという父は、その日からのんびりと吉祥寺の家で過ごし始めます。
そんな父は奈緒子の現在の恋人・川嶋巧(入江甚儀)とも仲良く話し、夕食を家で共にします。
そして、奈緒子の日々が少しずつ変化し始めました。
それにしても、静かな気持ちになる作品でした。
静かな夜。静かな朝。そして少しだけ変わっていく日常。
奈緒子は恋人の死の痛みを心に抱えていましたけど、実は恋人の巧も高校の同級生で加地の友人でした。
彼らが付き合い始めた頃のことも知っていて、巧にとっても加地の死は忘れられないものになっています。
そして、彼は加地への負い目を感じながらも、奈緒子への強い想いに引き付けられていました。
彼らはお互いを大切に想いながらも、加地を失った痛みを共有できていませんでした。
でも、時間が経過して自分と向き合えることが出来た時、彼らには前へ進む気持ちが生まれていきます。
そんな二人の姿がとても自然に描かれていて、観ていて優しい気持ちになっていきました。
加地が奈緒子に気持ちを届けた時も、奈緒子と巧が気持ちを新たに繋げた時も、
手作りのプラネタリウムの星空が輝いていました。
ラストシーンを見つめながら、美しい星空をスクリーンで観ることが出来て良かったと感じた1本です。
監督:柴山健次 出演:波瑠 入江甚儀 葉山奨之 黒島結菜奈 小市慢太郎
2015年 日本
(20151121)
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