シルヴィア・チャン脚本・演出の舞台劇をジョニー・トー監督が映画化したミュージカルです。
監督も出演者も豪華なのでどんな映画なのだろうと気になっていました。
オリジナルが舞台劇らしい美術の面白さもあって、ストーリーの意外な展開と共に最後まで引き込まれました。
なんだか女は辛いなあとしみじみ感じてしまいました。
会長(チョウ・ユンファ)を立てながらも、実質的なトップとして会社を大きくしてきた
女社長(シルヴィア・チャン)の愛と野望の物語です。
物語は会長が病院で眠り続けている妻を見舞っているシーンから始まります。
説明はありませんが、どうも長いこと意識のない状態が続いているようです。
毎日のように病院へ通っている彼は、ある意味、動かない妻に縛られ続けている状態ですが、
実際には社長が公私ともに会長のそばにいます。
いつかは自分を選んでくれるという希望を心の支えとして、社長は会長のために会社へも貢献してきました。
でも、会長の娘がひそかに新入社員として入社したり、海外との提携話が上手く進んでいかないなど
雲行きの怪しい状況になってきます。
そして、社長が信頼していた部下がリーマンショックで会社の金を大損させた時、運命は大きく狂ってきました。
それにしても、華やかな雰囲気で始まったのに、けっこう切ない物語ですね。
社長にしろ、真面目な経理担当者(タン・ウェイ)にしろ、男に利用されて人生を狂わせます。
他にも、有能なのに美人でプロポーションが良いからと、能力以外の点で軽く見られたり、セクハラされたりと
厳しい状況に置かれて働いている女性たちが多く登場します。
これはやっぱり、シルヴィア・チャンが女性視点で社会を描きたかったからだろうなあと感じました。
選び抜かれた俳優陣の演技や、近未来的なビルの設計も印象に残りました。
見終わった後のシルヴィア・チャンのQ&Aも、自分が監督したかったけどジョニー・トーになっちゃったわとか
チョウ・ユンファは絶対に歌わないと主張したことや、タン・ウェイも嫌がったけど歌ってみたら良かったとか
歌も演技も上手いイーソン・チャンはこの役には欠かせなかったとか色々な話が出て面白かった1本です。
監督:ジョニー・トー 出演:シルヴィア・チャン イーソン・チャン ワン・ズーイー ラン・ユェティン チョウ・ユンファ タン・ウェイ
2015年 中国/香港 原題:Office
(20151127)
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東京フィルメックスの公式HPはこちらへ http://filmex.net/2015/program/specialscreenings/ss06追伸
この映画は第16回東京フィルメックスで観ました。公開予定は未定です。