星ガ丘ワンダーランド

閉園の決まった遊園地を近隣に持つ雪深い小さな町を舞台に親子の絆を描くヒューマンドラマです。
またしても物語の情報を全く持たずに、豪華な俳優陣に惹かれてチャレンジしてしまいました。
優しい視線で映し出される青年の姿に、母の愛の深さがじんわりと伝わってくるような作品でした。

光と雪が優しく降り注いでいるような印象が心に残りました。

冷たい雪道を一家4人でドライブしているところから始まる物語です。
運転をしていた父（松重豊）が母を責め立てていました。
息子二人のうち幼い弟の温人が怪我をした原因が母にあると怒っていたのです。
でも、母は父に車を止めるように言うと、車とは反対方向へ独り雪道を歩き始めました。

しばらくして、止まったままの車から降りた温人は母の後姿を追いかけ始めます。
白い雪道の中を歩いていた赤いコートの母は抱きついてきた息子をしっかりと抱きしめますけど
しばらくすると手袋の片方を温人へ渡し「かならず取りに行くから」と言い残して去って行きました。

それから年月が過ぎ、温人は駅員として毎日、駅と落し物預かり所を管理していました。
預かり所には様々な落し物が届けられ、温かな交流が生まれます。
そんな穏やかな日々の中、突然の訃報が届きます。
それは、20年前に別れたまま再会することのなかった母の自殺でした。

それにしても、映像が綺麗で優しさを感じるような作品ですね。
後から考えると物語的にはそれほど意外性は無いのかも知れませんけれど、最後まで引き込まれました。
きっと映像のせいかもと思って後から調べたら、監督さんはCMで有名な人だったのですね。
俳優陣の表情が本当に豊かに映し出されていて魅せられました。

あと、意外に豪華な俳優陣が観ていて楽しかったです。
役にピッタリのキャストたちが演じていると、安心して観ていられるのですよね。
後から考えると、まるで某朝のテレビ小説みたいだと思ってしまいました(^^ゞ

優しい表情の似合う主人公が母への思慕で心がかき乱されていく展開には胸が痛みましたが、
最後に真相が分かった時には本当にほっとしました。
観終わった時、温かい想いで心がいっぱいになった1本です。



監督：柳沢翔　出演：中村倫也　新井浩文　佐々木希　菅田将暉　杏　市原隼人　木村佳乃　松重豊
2015年　日本
（20160330）

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