シングルマザー家庭のトモ(柿原りんか)は帰宅しても家には誰もいません。
夜ご飯はテーブルの上に置いてあるコンビにおにぎりです。
寂しい気持ちのまま眠っていると、母は明け方に深酔いをして帰宅し布団に倒れ込みます。
そして、トモは翌朝も眠っている母に声を掛けて学校へと向かいました。
そんな日が数日続いたある日のこと。テーブルの上には母からの手紙が乗っていました。
そこにはしばらく家へは帰らないという内容が書いてあり、1万円だけが置かれていました。
暗い顔をしたトモは、母の弟である叔父マキオ(桐谷健太)の働いている本屋へと向かいました。
それにしても、とても優しい気持ちになれる作品でした。
自分が女性の心を持っていることを受け止め、今では身も心も女性として生きているリンコさん。
現代の世の中はランスジェンダーに不慣れで、謂れの無い偏見に晒される日々ですけど、
自分の怒りや哀しみを昇華する究極の手段を身につけて、自分の心を守っています。
美しくて儚げなのにそんな強さを身に着けているリンコさんは凄いなあと感じました。
そんなリンコさんは、女性としてというよりは人間としてとても繊細で優しい心を持っています。
そんな彼女の本当の美しさをしっかりと見抜いて、彼女の存在を丸ごと受け止めているマキオくんも
やっぱり強いなと感じました。
お互いを理解し合っているこのカップルがとても羨ましかったです。
そして、この二人みたいな強さが欲しいと思ってしまいました。
あと、何と言っても俳優陣の演技が良かったです。
生田斗真さんや桐谷健太さんはもちろんのこと、みんな見応えのある演技を見せてくれました。
このキャストだからこそ、繊細な心がじんわりと伝わってくるような作品になったのだろうなと感じました。
シングルマザーの母親に置き去りにされてしまったトモちゃんと、母親になれなかったリンコさんが
お互いの寂しさを補うように寄り添う姿が印象的でした。
観終った時、この登場人物たちがみんな幸せになれますようにと願った1本です。
監督:荻上直子 出演:生田斗真 桐谷健太 柿原りんか ミムラ 小池栄子 門脇麦 りりィ 田中美佐子 柏原収史
2017年 日本
(20170228)
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