母校の国語教師になっていた【僕】(小栗旬)は、図書館取り壊しのための蔵書整理を担当することになりました。
彼は高校生時代にも図書委員で分類と目録作成を行なっており、現在もそのまま使われていたのです。
教え子に、この整理をしたのは先生でしょう?と訊かれた彼は肯きましたけど、
一緒に作業した生徒がもう一人いたと呟きます。
その時、彼の胸を過ぎったのは、今は亡き同級生の山内桜良(浜辺美波)の笑顔でした。
12年前の高校2年の時、【僕】(北村匠海)は桜良と運命的に出会います。
いつも教室で本を読んでいる物静かな【僕】は、特に友人もいない地味な生徒でした。
そんな彼がたまたま病院へ行った時、待合ロビーで落し物の文庫本を拾います。
書店のカバーがかかっている文庫本に興味を持った彼は本を開いて中身を確かめようとします。
でも、それは書籍ではなく、手書きで書かれた日記帳でした。
「共病文庫」というタイトルの付いたその日記には、後数年で膵臓の病気で死ぬと書かれていました。
その内容に慌てた【僕】に、落とし主が声を掛けます。
その落とし主こそ彼の同級生だった桜良でした。
翌日から、桜良は【僕】に親しくし話しかけ始めます。
自分の病気を公表しないと決めている桜良にとって、自分の秘密を知っている【僕】は
唯一、心を知られても大丈夫な同級生なのです。
【僕】はクラスの中でも人気者で笑顔を絶やさない彼女に、本当に死ぬの?と問いかけます。
彼女は笑顔を見せながら、死ぬよとはっきりと答えました。
それにしても、やっぱり切ない物語ですね。
原作を読んでいたので結末まで分かってはいたのですけど、やっぱり泣けてしまいました。
後数年しか生きられないという厳しい現実を受け止めながらも
今を精一杯生きようとする桜良ちゃんの存在感が印象的でした。
それだけに、彼女の死は観ていて哀しかったです(T_T)
また、青春ラブストーリーでは珍しくとても内向的な【僕】のキャラクターも、原作と同じように頑張っていました。
ちょっとへたれな子なのですけど、その分、誰もが理解できる子のような気がします。
かっこよくは無いけれど、等身大の主人公なのかも知れませんね。
彼の涙がとても心に沁みました。
原作とはちょっと違う12年後の大人のパートも好きだなと感じました。
残された人の人生はその後も続くのですもの。
観終った時、切ない物語なのに爽やかな余韻と生きることへの愛しさを感じました。
久々に素直に作品に引き込まれる青春映画だったなと感じた1本です。
監督:月川翔 出演:浜辺美波 北村匠海 大友花恋 矢本悠馬 桜田通 森下大地 上地雄輔 北川景子 小栗旬
2017年 日本
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