夫の死により引き継いだ新聞社の経営に日々悩んできたキャサリン(メリル・ストリープ)は
新たな経営展開にチャレンジしようとしていました。
非公開だった株を上場し、資金難に手をうとうとしていたのです。
スピーチにも不慣れな彼女を昔馴染みの会計士や役員たちがサポートしながら、何とかその日を迎えることが出来ました。
でも、世情はベトナム戦争への反対の気運が高まっている中で、ライバル誌のニューヨーク・タイムズが大スクープを発表します。
ベトナム戦争の実情を記録した最高機密文書が掲載されたのです。
それはベトナム戦争が早くから敗戦の可能性を考えられていたのに、それを隠したまま戦争を続けたというものでした。
ニクソン大統領の率いる政府はその報道に対して、差し止め命令を出します。
新聞の報道に政府がここまで口を出すのは報道の自由を侵害するものだと誰もが思い始めた時、
同じく機密文書を追っていた編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)の部下が文書を入手します。
文書を載せたい記者たちと、経営の危険を冒したく無い役員たちの間で
キャサリンは自分の意思で決断をしなくてはならない状況に追い込まれていきました。
それにしても、スピルバーグ監督は、影のヒーローと言うか、目立たないけれど重要なことを成し遂げた人物に
スポットライトを当てるのが好きなのかも知れませんね。
今回の主人公も、地味で控えめだけど勇気を持って歴史を変えるような決断し成し遂げた人でした。
なにせ、1970年代の初めは、まだまだ女性が実力を発揮して働くには厳しい時代でした。
日本なら主婦のパートさんたちが全盛の頃でしょうか。
既婚の女性社員が男性と対等に働くなんて、まだまだ先の世界です。
そんな時代に生きてきた女性が、大切にしたい新聞社を背負った時にどう動くのか
その決断と心の強さを、メリル・ストリープを通して感じることができました。
あと、活字を組まれて印刷される新聞の様子がなんだか懐かしかったです。
この物語の次に来るのが“ウォーターゲート事件”になるのも、映画を観た後なら理解できました。
観終わった時、改めてこの歴史を繰り返してはならないなあと考えさせられた1本です。
監督:スティーヴン・スピルバーグ 出演:メリル・ストリープ トム・ハンクス サラ・ポールソン ボブ・オデンカーク トレイシー・レッツ ブラッドリー・ウィットフォード ブルース・グリーンウッド
2017年 アメリカ 原題:THE POST
(20180329)
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