酒とたばこと女を愛する作家・太宰治(小栗旬)は、心中から生き残ると浴びるように酒をの飲み
妻・美知子(宮沢りえ)と子供の暮らす家へ帰ってきました。
当然ながら妻は笑顔で受け入れてくれる訳ではありません。
それでも、夫が困っていると手を差し伸べようとします。
辛さを心の奥に沈めつつ、夫を支えなくてはと妻としての役目を務めていました。
そんな妻に対して、太宰はそっけない態度を取ります。
相変わらず夜は酒場で溺れるように酒を飲み、家では書斎で筆の進まない原稿を睨んでいました。
そんなある日、太宰宛に一通の手紙が届きます。差出人は太田静子(沢尻エリカ)。
結婚生活に敗れて、母が亡くなった後は一人で大きな館に住んでいた静子は、
彼女の日記を読ませるという条件で太宰を自分の家へ呼び入れます。
彼女は太宰の子を産みたいと願っていたのです。
数日間、静子に愛を与えながら彼女の日記を読んだ彼は
静子の日記の影響を受けながら『斜陽』を書き始めました…
それにしても女優陣の迫力ある演技が良かったです。
恋に恋する乙女の姿で聖母のような生き方を選ぶ静子を演じた沢尻エリカさんの無邪気な笑顔。
愛に堕ちて壊れていく一途な富栄を演じた二階堂ふみさんの狂気をはらんだ笑顔。
夫の生き方を限界まで許し必死に子供を守る美知子を演じた宮沢りえさんの最期に見せた笑顔。
どの笑顔も印象に残りました。
中でもさすがだったのは宮沢りえさん。
女性を翻弄しつつ女性に生かされていた太宰が人生の最後にこの結末をたどったのは
妻の心の動きと連動したからかもと感じました。
そんな妻としての微妙な心情と母としての強さを体現できるのはさすがですね。
彼女の存在感がそのまま映画の強さになっていると感じました。
あと、最後は今にも倒れそうなほどやせ細っていった小栗旬さんの真に迫った演技も良かったです。
彼が演じたからこその弱さと愛嬌を感じる太宰治でした。
観終わった時、やっぱりこの人の生き方は本当に凄かったのだろうなあとしみじみと思った1本です。
監督:蜷川実花 出演:小栗旬 宮沢りえ 沢尻エリカ 二階堂ふみ 成田凌 千葉雄大 瀬戸康史 高良健吾 藤原竜也
2019年 日本
(20191005)
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