殺さない彼と死なない彼女

Twitterで注目されデビューした漫画家・世紀末の同名コミックを映画化した青春ドラマです。
タイトルと予告編を観てどんな物語が繰り広げられるのだろうと気になっていました。
切なさと強い想いで胸がいっぱいになるような心に残る青春物語でした。

留年して４年目の高校生活を送っている小坂れい（間宮祥太朗）はクラスに馴染めず
退屈な毎日を送っています。
クラスの女子に遊びに誘われても冷めた目ですげなく断り、独り帰宅するだけでした。

そんなある日のこと。教室に入って来た大きな蜂が叩き落されました。
その後、ゴミ箱をクラスメイトの鹿野なな（桜井日奈子）が覗いているのを目にした小坂は
彼女の不思議な行動に興味を引かれます。
何をしているかと尋ねるとななは捨てられている蜂を埋葬すると答えました。

ゴミ箱から取り出した蜂を持って外へ出ようとするななを小坂は追いかけ、一緒に蜂を埋葬します。
その時、小坂はななの腕にリストカットの痕がついていることに気付きます。
彼女は死にたいと常々考えている子だったのです。
ななの存在そのものに惹かれた小坂は、気が付くとななと一緒に過ごすようになっていました。

それにしても、心が揺さぶられる作品でした(T_T)
小坂とななのちょっと微妙な恋と二人の運命。
印象が正反対な地味子（恒松祐里）ときゃぴ子（堀田真由）の友情。
何度振られても告白し続ける撫子（箭内夢菜）と断り続ける八千代（ゆうたろう）の恋の行方。
どれもが切実でリアルな青春を映し出していました。

登場人物たちは誰もが揺れる心をギリギリのところで保ちながら日常を過ごしています。
悪意に翻弄されることもあります。
それでも、二人の絆を信じ受け止めて未来へ向かおうとする姿には胸がうたれました。
また、３組の物語が少しずつリンクして最後に繋がる展開も興味深かったです。

光を感じる映像も印象に残りました。
観終わった時、久々に心に残る青春映画を観たなあと感じた１本です。



監督：小林啓一　出演：間宮祥太朗　桜井日奈子　恒松祐里　堀田真由　箭内夢菜　ゆうたろう
2019年　日本
（20191126）

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