ブライアン・スティーヴンソン著の法廷ノンフィクション
『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』(亜紀書房)をもとに創り上げた作品です。
ハーバード大学で法律を学び弁護士となったブライアン・スティーヴンソンは、
アラバマ州で公正な司法を目指す事務所を立ち上げます。
この地域ではいまだに人種差別が横行しており、中には無実の罪で死刑を宣告された囚人もいました。
ブライアンは死刑囚の情報を知るとリストを作って面接を計画しました。
面接の予約をした日に死刑囚が収監されている刑務所を訪ねたブライアンは
入館前に刑務官から裸での検査を強要されます。
弁護士でさえも差別にさらされる現状に、ブライアンは改めてショックを受けます。
さらに、死刑囚たちとの話し合いで彼らがどんな裁判で死刑囚にされたのを聞いていくにつれて
改めて現状打開の難しさ感じざるを得ませんでした。
それにしても、これが1980年代の出来事なのですね…
途中では、ここまで新しい証拠を上げてもダメなのですか…と理不尽さに怒りを覚えました。
でも、そこの地域(州)の司法では当たり前のことでも、
アメリカ全体ではさすがに非常識になるのでしょうね。
主人公のブライアンはマスコミを上手く使って世論を動かそうと考えます。
全国ネットのテレビ番組『60 Minutes』でウォルター・マクミリアンと彼が起こしたとされる
殺人事件を取り上げてもらったのです。
テレビの影響は大きく、ウォルター・マクミリアンを取り巻く歪んだ状況が全国へ明らかにされると
風向きが変わっていきます。
今まで却下されていた再審がもう一度許可されたのです。
良かったと思うのと同時に、マスコミの力はやっぱり大きいのだなあと改めて感じました。
当初、被害者家族は犯人の逮捕で安心を得たのかも知れませんけど、
逆にその犯人が冤罪だと知った時のショックは計り知れない気がします。
特に今回はある理由により最初からウォルター・マクミリアンを狙って冤罪に仕立て上げています。
警察が最初から真犯人を逮捕する気が無かったのかと思うと、遣り切れない想いがしました。
観終わった時、これが本当に1980年代にあったことなのかと考えてしまった1本です。
監督:デスティン・ダニエル・クレットン 出演:マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソン
2020年 アメリカ 原題:JUST MERCY
(20200317)
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公式サイトはこちらへ http://wwws.warnerbros.co.jp/kuroi-shiho/index.html