ピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターの人生を描いた物語です。
動物たちの絵の可愛さと見渡す景色の美しさ、そしてミス・ポターの選んだ人生に胸を打たれました。

1900年初頭の封建的で階級意識の強いイギリス。
上流階級の家で育ったビアトリクス・ポター(レニー・ゼルウィガー)は数ある縁談を断り、
三十路を過ぎた今でも両親の家で動物たちの絵を描いていた。
上流階級の娘は仕事をするなどもってのほかであったが、彼女は自分の絵本を出版しようと考える。
児童書の発行実績のある出版社に自分の企画を持ち込んだところ、思いもかけず絵本の出版を引き受けてくれた。
実力が認められたと有頂天になったポター。でも、実はその出版社の経営者である兄弟が末っ子の初仕事として
失敗しても許されるような本をあてがおうとしたのだった。
末っ子ノーマン・ウォーレン(ユアン・マクレガー)に説明されたポターは気を落とすが、
彼が真面目に本に取り組み、良い本を発行しようと努力している姿を見て笑顔を取り戻す。
そして彼の勧めで、上流階級の女性とは異例の“印刷所での色校チェック”へと向かった…

愛らしい本を生み出した一人の女性の人生が生き生きと描かれていました(^^)

芸術に理解のある父。女の幸せは身分と財力のある男と結婚することで決まると信じて疑わない母。
そんな二人の間に生まれたビアトリクスは、小さい頃からスケッチブックに動物の絵を描いているような
ちょっと変わった女の子。
彼女は大人になった今でも絵の生き物たちに語りかけ、会話をしています。
そんな彼女とアニメで甦っているキャラクターたちの様子は、とってもキュートで可愛かったです(^^)

今から100年前の出来事でも共感できることがいっぱいでした。
彼女は世界中から愛される絵本を作り出し、身分とは関係なく本当に信頼できる人と愛を育み、
やがては昔からの自然をありのままに残すという偉業を行なっています。
何も知らないお嬢様という立場だった彼女が、それだけのことが出来たのは
運命や出会いに左右されているのかも知れません。
でも一番は、自分の心を大切にして愛するものを守ろうとする気持ちだったのだろうなと感じました。

哀しい恋に切なく感じつつも、彼女の純粋な生き方にちょっと憧れてしまった1本です。

監督:クリス・ヌーナン 出演:レニー・ゼルウィガー ユアン・マクレガー エミリー・ワトソン
2006年製作 イギリス/アメリカ 原題:MISS POTTER
(070903)