山間にある小さな村で一人の少女が行方不明になった。
家で一休みしていた刑事サンツィオ(トニ・セルヴィッロ)は疲れた身体を起こして現場に駆けつけた。
だが、村へ彼がたどり着いた時、少女は発見されていた。
村の湖の近くに住む無邪気な知的障害者の男に誘われてウサギを見ていたのだ。
特に少女に害は無かったようだが、少女はその湖で何があったかを訊ねると言い辛そうに顔を曇らせた。
母親が問い質すと、何と若い女性の遺体があったと伝えてきた。
サンツィオが相棒の刑事と一緒に湖へ急行すると、美しい湖のほとりに裸体の女性が横たわっていた…
小さな村で起きた殺人事件は、それを追う刑事の心にも小さな波紋を起こしていきました。
誰からも愛されたアンナ(アレッシア・ピオヴァン)が遺体で発見された。
彼女は何故殺されなければならなかったのか。
彼女の恋人が容疑者として捕まりますが、彼は一貫して容疑を否定します。
サンツィオは状況証拠からも疑わしく思える恋人を犯人と思いつつも、
何処か釈然としないものを感じています。
そして、彼女の秘密や日記と思えるCD-ROMの内容が明らかになった時、
彼女に何が起きたのか、彼女の心境はどんなものだったがが
サンツィオにも段々と分かり始めました。
サスペンスな展開の作品なのですけど、物語の一番のキーになるのは“親子”です。
殺されたアンナは母親を早くに亡くして、父親と姉の3人で暮らし。
姉は母の連れ子で、父親と姉とは血の繋がりがありません。
そのためか、父親はアンナのみを溺愛しており、その様子はサンツィオの目にも奇異に見えるほどでした。
また、刑事サンツィオも妻が病気で療養しているため、10代の娘と慣れない二人暮らしをしています。
頑固で不器用なサンツィオは娘と上手くコミュニケーションがとれず、娘は母への寂しい想いを隠せません。
その他にも知的障害者の息子への憎しみと罪悪感に苛まされる父親や
いつも泣き通しで手に負えない幼い息子を事故で亡くした両親など上手くいっていない親子関係が登場し、
単なるサスペンスとは違った人間ドラマを見せてくれました。
様々な家庭を見てきたサンツィオが子供に対する深い思いに気づいた時、
彼の想いと一緒に心の中に何とも言えない気持ちが広がりました。
サスペンスなのに家族のことを考えさせられるなあとちょっと思った1本です(^^ゞ
監督:アンドレア・モライヨーリ 出演:トニ・セルヴィッロ ヴァレリア・ゴリノ オメロ・アントヌッティ ファブリツィオ・ジフーニ アンナ・ボナイウート アレッシア・ピオヴァン
2007年 イタリア 原題:LA RAGAZZA DEL LAGO/THE GIRL BY THE LAKE
(20090819)