札幌に住む泉美(北川景子)は電車とバスを乗り継いで、精神科を専門とするクリニックへやって来た。
彼女は数ヶ月前に交通事故に遭い、そのショックから立ち直っていなかったのだ。
一番辛かったのは、一緒にバイクへ乗っていた恋人・淳一(岡田将生)が亡くなってしまったこと。
そして、彼女は事故の瞬間の記憶を無くしていた。
クリニックの医師(田口トモロヲ)に空白の記憶を取り戻したいと訴えるが、
今は無理はいけませんと諭されてしまう。
そんなある日、泉美は薬の窓口にいた時に、入院患者にからまれてしまう。
対処に困っていると、一人の女性・桐野(大塚寧々)が彼女の手を引いて助けてくれた。
桐野が忘れた封筒から彼女が弁護士をしていると知った泉美は、
数日後、札幌にある彼女の事務所を訪ねに向かった…
登場する人達がみんな優しくて、心が温かくなるような作品でした。
心に傷を負った泉美の愛と再生の物語です。
彼女は交通事故で愛する恋人・淳一を失います。
そして、無くしてしまった事故の記憶を何とか取り戻したいと考えます。
彼女の事情を理解した弁護士・桐野の協力を得て、関係者への聞き取り調査を始めました。
二人の怪我の状況を知る医師。事故の状況を知る警察官。淳一の解剖結果。
調査が進むうちに、空白の時間は約10分ということが分かってきます。
そして、淳一の怪我が通常では考えられないような状態だったことが見えてきました。
実はこの調査を聞いていれば、淳一が何をしたのかは分かってしまいます。
謎解きはそこではありませんし、泉美もそれだけが知りたかったのではありません。
事故の後に泉美に何が出来て、何をしようとしたのか。
淳一が最後に泉美に何と言おうとしたのか。
彼女はずっとその答えを探していました。
そして、事故時の二人の動きが見えてきた時に、相手を慈しもうとする愛の姿が浮かび上がってきました。
それにしても、思い出にある泉美と淳一のシーンは可愛かったです~
相手に我侭になるところも、気持ちが通じなくてすれ違ってしまうところもとても自然で、
観ていてニッコリしてしまいました。
だからこそ、事故のシーンは痛々しくて観ているのが辛かったです。
また、泉美の心の再生と共に弁護士・桐野の心の再生も描かれていて、
そのエピソードもとても良かったです。
いろいろ派手な作品も見応えがありますけど、
こういう爽やかな希望を感じる作品もたまにはいいなあと思った1本です。
監督:磯村一路 出演:北川景子 岡田将生 大塚寧々 清水美沙 史朗 深水元基 永島暎子
2010年 日本
(20100619)
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