チリの乾燥した荒野を背景に、ある親子の4日間の旅を映し出したロードムービーです。
幼い少女の視線から見た旅がどんなものか気になって
チリの自然と親子の姿をドキュメンタリーのように静かに見つめているような作品でした。
荒涼とした大地を観ていたら、とても遣る瀬無い気持ちになってきました。
夜中or明け方に旅立った一家のロードムービーです。
幼い娘2人を慌しく車に乗せた若い父母の姿を観て、夜逃げ?と思ってしまったのですけど、
さすがにそうではなかったです^_^;
ただし、その旅立ちからも楽しそうな雰囲気はありません。
母は自分も行くの?と尋ねているし、父は旅立つことしか考えていないようです。
目的地はアバウトな感じながら、父が受け継いだ土地へと向かっていました。
最初からバラバラな心が一緒に旅をしていても楽しそうには見えません。
父母の心がまとまるのは娘二人の前だけ。
二人が見えていないところでは、かなり険悪な雰囲気です。
ただし、子供たちにはそんな姿をあまり見せないようにしているので、最初は子供たちも
みんなで出かける家族旅行だと楽しく過ごしています。
でも、目的地は遠く、砂漠のような荒野の中を車で移動しているだけで疲労はたまるばかり。
次第に長女の瞳には、父母の心が離れてしまっていることが見え始めてきました。
それにしても、寂しい印象の残る物語でした。
荒野がそのまま心を映し出しているようです。
旅の途中で切ない逸話も登場します。
自動車事故で家族を亡くし一人生き残った男がその事故現場から動かずにそこで暮らしているのです。
人々のカンパで生きているという男に、この一家も食べ物をあげようとします。
そんな優しい心を持っていても、男女の仲は壊れてしまうのだなと思いながら観ていました。
本当にリアルなドキュメンタリーのように感じる作品でした。
観終った時、この子供たちがどのように成長するのか気になってしまった1本です。
監督:ドミンガ・ソトマイヨール 出演:サンティ・アウマダ エミリアーノ・フレイフェルド フランシスコ・ペレス=バネン パオラ・ジャンニーニ
2012年 チリ/オランダ 原題:Thursday Till Sunday/De jueves a domingo
(20121023)